80 歳の男性。糖尿病で治療中。意識混濁と呂律緩慢のため救急車で搬入された。初診…
80 歳の男性。糖尿病で治療中。意識混濁と呂律緩慢のため救急車で搬入された。初診時の心電図(別冊No. 2A)と頭部MRI 拡散強調像(別冊No. 2B)を別に示す。この疾患の再発予防に使用される最も適した薬剤はどれか。
- ⑴ 硝酸薬硝酸薬は冠動脈を広げて狭心症の発作を抑える薬です。心房細動による塞栓を防ぐ働きはありません。
- ⑵ β 遮断薬β遮断薬は心房細動の心拍数を抑えるために使われることはありますが、血栓の形成そのものを防ぐわけではなく、再発予防の主役にはなりません。
- ⑶ 抗凝固薬心原性脳塞栓症の再発予防には抗凝固薬を用います。心房内で血液がよどんでできる血栓は凝固因子が主役であるため、抗血小板薬ではなく抗凝固薬が選ばれます。
- ⑷ ステロイド薬ステロイド薬は炎症や免疫の異常を抑える薬です。脳梗塞の再発予防には用いず、血糖を上げるため糖尿病のある本例では不利にも働きます。
- ⑸ 抗てんかん薬抗てんかん薬はけいれん発作を抑える薬です。脳梗塞後にけいれんが起きた場合に使うことはあっても、梗塞の再発を防ぐ薬ではありません。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。心電図で心房細動が確認され、頭部MRI拡散強調像で急性期の脳梗塞が描出されるという組合せは、心房細動を原因とする心原性脳塞栓症を示します。この病型では心房内にできた血栓が流れ出して脳の血管を詰まらせるため、再発予防には血液が固まる過程そのものを抑える抗凝固薬を用います。抗血小板薬ではなく抗凝固薬である点が要点です。ほかの薬剤は狭心症、心拍数の調節、炎症、けいれん発作に対するもので、塞栓の再発予防にはなりません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成