68 歳の女性。くも膜下出血後の四肢麻痺のため作業療法を行っている。現在、四肢の…
68 歳の女性。くも膜下出血後の四肢麻痺のため作業療法を行っている。現在、四肢の麻痺は、ほぼ認めない。高次脳機能障害が残存しMMSE を実施した。結果(別冊No. 1)を別に示す。次に行う検査で最も優先されるのはどれか。
- ⑴ AMPSAMPSは日常生活動作を実際に行ってもらい作業遂行の技能を評価する方法です。どの高次脳機能が障害されているかを特定する検査ではありません。
- ⑵ BADSBADSは遂行機能障害を評価する検査です。段取りや切り替えの問題が疑われる場面では有用ですが、本例で先に確かめるべき症状ではありません。
- ⑶ BITBITは半側空間無視の有無と重症度を、机上検査と日常場面を模した行動検査の両面から確かめられます。疑われている症状を直接検証できるため最優先になります。
- ⑷ RBMTRBMTは日常生活に即した記憶を評価する検査です。記憶障害の把握には適しますが、左側の見落としを確かめる目的には合いません。
- ⑸ VPTAVPTAは視覚失認や視空間認知を幅広く調べる検査です。項目数が多く時間もかかるため、無視が疑われる段階でまず選ぶ検査としては優先度が下がります。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。MMSEの結果から左側の情報を見落とす傾向が示されており、まず確かめるべきは半側空間無視ですから、行動性無視検査であるBITが最も優先されます。BITは線分抹消や模写といった机上の検査に加え、食事や書字など日常場面を模した行動検査を含むため、無視の有無だけでなく生活への影響まで把握できます。ほかの検査は作業遂行、遂行機能、日常記憶、視知覚全般をみるもので、いま目の前で疑われている症状を直接確かめる検査にはなりません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成