70 歳の男性。右中大脳動脈領域のアテローム血栓性脳梗塞後に重度の左片麻痺と感覚…
70 歳の男性。右中大脳動脈領域のアテローム血栓性脳梗塞後に重度の左片麻痺と感覚障害が残存し、4 週後、回復期リハビリテーション病院に転院した。転院時のバイタルサインに異常なく自発痛の訴えは無かった。左上下肢は随意性が乏しく、浮腫を認めた。血液検査ではD ダイマーが高値以外は正常範囲であった。最も考えられる疾患はどれか。
- ⑴ 心不全心不全による浮腫は重力のかかる下肢に左右そろって現れ、息切れや頸静脈怒張などを伴います。麻痺側だけに限られる浮腫の説明にはなりません。
- ⑵ 蜂窩織炎蜂窩織炎では発赤・熱感・強い自発痛と発熱を伴います。自発痛の訴えがなくバイタルサインも正常な本例とは合いません。
- ⑶ 肩手症候群肩手症候群は麻痺側の上肢に限って手の腫脹と強い疼痛を生じるものです。下肢にも浮腫があり自発痛がない点が合わず、Dダイマー高値も説明できません。
- ⑷ 深部静脈血栓症麻痺側上下肢の浮腫とDダイマー高値、長期の不動という条件がそろっており、深部静脈血栓症が最も考えられます。肺塞栓症に進む危険があるため、離床前の確認が欠かせません。
- ⑸ ネフローゼ症候群ネフローゼ症候群では大量の蛋白尿と低アルブミン血症を背景に全身性の浮腫が生じます。Dダイマー以外の血液検査が正常範囲である本例には当てはまりません。
解説
正解は⑷です。麻痺側の上下肢に限局した浮腫とDダイマー高値という組合せは、静脈が血栓で詰まって血液の戻りが滞る深部静脈血栓症を強く示唆します。重度の片麻痺で随意性が乏しい状態では下肢の筋ポンプが働かず、脳梗塞後の安静も重なって血栓ができやすい条件がそろっています。他の選択肢は全身性の浮腫をきたす病態か、疼痛や炎症所見を伴う病態であり、バイタルサインと血液検査がほぼ正常で自発痛もない今回の経過とは合いません。転院直後は下肢の腫脹と左右差を必ず確認してください。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成