62 歳の女性。5 か月前に左半身の脱力のため救急車で搬入され、右視床出血と診断…
62 歳の女性。5 か月前に左半身の脱力のため救急車で搬入され、右視床出血と診断された。現在、Brunnstrom 法ステージは上肢Ⅳ、手指Ⅲ、下肢Ⅲであり、座位では右に重心が偏移し、頸部は右に回旋していた。図のような検査所見を呈している。作業療法プログラムで最も適切なのはどれか。
- ⑴ 右側から声掛けを行う。無視のない右側から声をかけると、右への偏りをさらに強めてしまいます。注意を促したい左側から声をかけるのが原則です。
- ⑵ 座位で左から右に輪移動を行う。左から右への移動は、すでに注意が向いている右方向へ動く課題です。右から左へ運ぶ設定にして左空間の探索を促します。
- ⑶ 頸部を左回旋させて塗り絵を行う。頸部を左に回旋させることで視野と注意が左空間へ向き、頸部からの固有感覚刺激も加わって、左半側空間無視への働きかけになります。
- ⑷ ADL 訓練は視覚認知の改善を図ってから行う。認知面の改善を待つ必要はありません。ADL訓練を並行して行い、実際の生活場面で左への注意を促すほうが効果的です。
- ⑸ 机上課題では左側に壁がくるように座席を配置する。左側に壁があると左空間への探索が妨げられます。壁は右側にし、左側を開けて情報が左から入る配置にします。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。右視床出血で座位の重心が右へ偏り、頸部が右に回旋していることから、この患者には左半側空間無視があると考えられます。無視に対しては、無視側である左方向へ能動的に注意を向けさせる働きかけが基本になります。頸部を左へ回旋させた姿勢で塗り絵を行えば、視野と注意が左空間に向き、頸部の固有感覚刺激も加わって左空間の認識を促せます。左から声をかける、教材を左側に置くなど、日常の場面でも左への探索を促す工夫を重ねます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成