65 歳の女性。専業主婦。右利き。上肢の振戦のため心配した夫に伴われて来院した。…
65 歳の女性。専業主婦。右利き。上肢の振戦のため心配した夫に伴われて来院した。Hoehn &Yahr の重症度分類ステージⅠ。入院後に内服投与が開始され、2週後退院となった。退院時に安静時振戦は消失したが、右下肢の固縮および右すり足を認めた。片脚立位で右が10 秒、左が20 秒。ADL は自立しているが、箸の使用と書字に時間がかかる。退院後のプログラム内容で適切でないのはどれか。
- ⑴ 散歩散歩は歩行の持久性と歩幅の維持に役立ち、この重症度の患者に無理なく続けられる運動です。適切なプログラムにあたります。
- ⑵ 太極拳太極拳はゆっくりした重心移動を繰り返すため、パーキンソン病のバランス機能改善に有効とされ、適したプログラムです。
- ⑶ フレンケル体操深部感覚障害による失調に対する訓練法であり、失調ではなく固縮と動作緩慢が問題であるこの患者には適応がありません。
- ⑷ 手内筋の伸張運動手内筋の伸張は固縮による手指の動きにくさを和らげ、箸の使用や書字の改善につながります。この患者に適した内容です。
- ⑸ 床に置かれた物品の整理床の物品を整理する動作はしゃがみ込みや体幹の回旋を伴い、姿勢の柔軟性と可動域の維持に役立つため適切です。
解説
正解は⑶です。フレンケル体操は、深部感覚障害による脊髄性運動失調に対し、視覚で代償しながら反復して随意運動の正確さを高める訓練法です。この患者は安静時振戦と固縮、すり足を認めるパーキンソン病であり、問題となっているのは失調ではなく筋固縮と動作緩慢ですから、この体操は適応になりません。この時期には有酸素運動やバランス訓練、大きな動きを引き出す課題、手指の柔軟性を保つ運動が適しており、それらを日課に組み込むことが勧められます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成