62 歳の男性。畑で野焼き中に熱傷になったため救急車で搬入された。搬入時の両下肢…
62 歳の男性。畑で野焼き中に熱傷になったため救急車で搬入された。搬入時の両下肢の熱傷部位(別冊No. 5)を別に示す。全身の熱傷面積は35 % である。熱傷で正しいのはどれか。
- ⑴ 疼痛評価が必要である。痛みは熱傷の主要な症状で、創部の処置や関節運動の実施に直接影響します。評価と鎮痛の計画は治療を進める前提になります。
- ⑵ 熱傷深度はⅠ度である。1度熱傷は発赤と痛みだけで水疱を作りません。写真の所見と35パーセントという面積からみて、2度以上と判断されます。
- ⑶ 全身症状の観察は必要ない。35パーセントの広範囲熱傷では体液が大量に失われ、循環不全や感染、呼吸障害が生じ得ます。全身症状の観察は不可欠です。
- ⑷ 気道熱傷は予後因子ではない。気道熱傷は気道の浮腫による呼吸不全を招き、予後を大きく左右する重要な因子です。顔面や頸部の熱傷では特に注意します。
- ⑸ 熱傷面積は予後因子ではない。熱傷面積は重症度判定の基本で、輸液量の算定や生命予後の推定に用いられる代表的な予後因子です。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正答は⑴です。熱傷では創部の痛みが強く、痛みの程度は処置や関節運動の進め方を左右するため、経過を通じて疼痛の評価と対策が欠かせません。全身の熱傷面積35パーセントは広範囲熱傷にあたり、体液の喪失による循環不全や感染、呼吸障害が起こり得るため全身症状の観察も必須です。写真の下肢は水疱などを伴っており1度にとどまりません。熱傷面積と深度、気道熱傷の有無、年齢はいずれも予後を左右する因子であり、これらを不要と述べる選択肢は誤りです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成