72 歳の男性。糖尿病性腎症。独居。下肢筋力には低下を認めず、ADL は自立して…
72 歳の男性。糖尿病性腎症。独居。下肢筋力には低下を認めず、ADL は自立している。BMI は30。1.5 km の距離の将棋教室にバスで週2 回通っている。腎機能は糸球体濾過量40 mL/分/1.73 m(CKD 病期ステージ3b:中等度~高度低下)を²認めたため入院となった。その他の併存疾患は認めていない。退院時の生活指導で適切なのはどれか。
- ⑴ 高蛋白食を勧める。糖尿病性腎症では蛋白質の過剰摂取が腎への負担となるため、病期に応じた蛋白制限が基本です。高蛋白食を勧めるのは逆の指導になります。
- ⑵ 高負荷での筋力増強運動を指導する。高負荷の筋力増強運動は血圧上昇や蛋白尿の増加を招くおそれがあります。下肢筋力の低下もないため、あえて高負荷にする必要はありません。
- ⑶ Borg 指数17 の有酸素運動を指導する。ボルグ指数17は「かなりきつい」に相当する高強度です。腎症のある高齢者では11〜13程度の「楽である」から「ややきつい」を目安にします。
- ⑷ 将棋教室まで歩いて通うように助言する。肥満と運動不足の改善に有効で、腎機能を悪化させにくい強度の有酸素運動を生活のなかで続けられます。独居での活動性維持にもつながります。
- ⑸ 家事はヘルパーに依頼するように助言する。ADLが自立し下肢筋力も保たれているのに家事を代行させると、活動量が減って肥満と筋力低下が進みます。できることは続けてもらいます。
解説
正答は⑷です。慢性腎臓病ステージ3bであっても、体格指数30の肥満と運動不足の改善は重要で、歩行のような中等度以下の有酸素運動は腎機能を悪化させにくく勧められます。片道1.5キロメートルを歩いて通うことは生活のなかに組み込みやすく、独居の方の活動性の維持にもつながります。腎症では蛋白質の過剰摂取を避け、運動も高強度は選びません。下肢筋力が保たれADLも自立している方に家事の代行を勧めると、活動量が減って肥満と筋力低下を進めてしまいます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成