60 歳の男性。Alzheimer 型認知症。若いころから日曜大工が趣味で、本棚…
60 歳の男性。Alzheimer 型認知症。若いころから日曜大工が趣味で、本棚や花壇などを作っていた。1 年前から食事をしたことを忘れるようになった。最近、置き忘れた財布を「盗まれた」などと言い、家庭内でのトラブルが多くなり精神科を受診して入院となった。作業療法導入時、「ここは学校ですか。私は仕事がありますので帰ります」と言い、作業療法室内を歩き回り、他の患者に対する怒声や暴言が観察された。この時期の作業療法士の対応で優先すべきなのはどれか。
- ⑴ 患者の言動を厳しく叱責する。叱責は不安と混乱を強め、暴言や拒否をかえって助長します。
- ⑵ 職業リハビリテーションを導入する。職業リハビリテーションは現実的な目標ではなく、帰宅願望を強めるおそれがあります。
- ⑶ 場の雰囲気に馴れるように援助する。安心して過ごせる環境をつくることが、混乱の強いこの時期の最優先になります。
- ⑷ 本棚作りなどの木工作業を導入する。木工は本人の経験を生かせますが、落ち着かない段階では刃物や工具の扱いが危険になります。
- ⑸ 記憶力の改善を目的とした活動を導入する。記憶力そのものの改善を目指す活動は失敗体験となりやすく、この時期には適しません。
解説
正解は⑶です。見当識が障害されて場所が分からず、不安と混乱から帰宅を訴え、他の患者に怒声を向けている状態です。まずは安心して過ごせるように、静かな場所を用意し、作業療法士がそばで声をかけながら場の雰囲気に馴れてもらうことが優先されます。安心感が得られてから、本人の経験を生かせる活動へ少しずつ広げていきましょう。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230524-08_09.html)を加工して作成