市中肺炎が疑われた患者の喀痰のGram 染色標本(別冊No. 15)を別に示す。…
市中肺炎が疑われた患者の喀痰のGram 染色標本(別冊No. 15)を別に示す。分離菌はヒツジ血液寒天培地に発育しなかった。考えられるのはどれか。
- ⑴ Acinetobacter baumanniiアシネトバクター・バウマニはグラム陰性の短桿菌ですが、ヒツジ血液寒天培地に発育します。
- ⑵ Haemophilus influenzae増殖にX因子とV因子を要するため、V因子が供給されないヒツジ血液寒天培地では発育せず、チョコレート寒天培地で発育します。
- ⑶ Klebsiella pneumoniae肺炎桿菌〈クレブシエラ・ニューモニエ〉はヒツジ血液寒天培地に粘り気のある大きな集落を作って発育します。
- ⑷ Moraxella catarrhalisモラクセラ・カタラーリスはグラム陰性の双球菌で、ヒツジ血液寒天培地に発育します。
- ⑸ Pseudomonas aeruginosa緑膿菌はヒツジ血液寒天培地に発育し、緑色の色素と特有の臭気を示します。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。ヒツジ血液寒天培地に発育しないという性状が決め手になります。インフルエンザ菌は増殖にX因子〈ヘミン〉とV因子〈NAD〉の両方を必要とし、ヒツジ血液寒天ではV因子が赤血球内にとどまったまま供給されないため発育せず、加熱して赤血球を壊したチョコレート寒天培地でのみ発育します。塗抹標本ではグラム陰性の小さな短桿菌として見えます。他の選択肢の菌はいずれもヒツジ血液寒天培地に問題なく発育しますから、この培地で発育しなかったという条件と合いません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-07.html)を加工して作成