40 歳女性。生しらうおの食歴がある。皮膚病変(別冊No. 1)を別に示す。考え…
40 歳女性。生しらうおの食歴がある。皮膚病変(別冊No. 1)を別に示す。考えられる寄生虫はどれか。
- ⑴ 鞭虫鞭虫は経口感染して大腸に寄生する線虫で、多くは無症状か下痢・腹痛を示します。幼虫が皮膚を移動する病変はつくりません。
- ⑵ 肝吸虫肝吸虫は淡水魚の生食で感染しますが、成虫は胆管に寄生して胆管炎や肝腫大を起こします。皮膚爬行症の原因にはなりません。
- ⑶ 顎口虫顎口虫の幼虫はシラウオやドジョウの生食で感染し、ヒトでは成虫になれずに皮下を移動するため、線状で遊走性の皮膚病変を生じます。食歴と皮膚所見が合致します。
- ⑷ 東洋毛様線虫東洋毛様線虫は野菜などから経口感染して小腸に寄生します。幼虫が皮下を移動する幼虫移行症は起こしません。
- ⑸ 日本海裂頭条虫日本海裂頭条虫はサケ・マスの生食で感染する条虫で、腸管に寄生して片節の排出をみます。皮膚病変は生じません。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。生のシラウオを食べた後に生じる、線状にミミズ腫れが移動していく皮膚病変(皮膚爬行症)は顎口虫症に特徴的な所見です。顎口虫の幼虫はヒトの体内では成虫になれず、皮下組織を移動しながら遊走性の腫脹や線状の発赤をつくります。日本ではドジョウやシラウオの生食が感染源として知られています。他の選択肢はいずれも腸管に寄生する虫種であり、皮膚を幼虫が移動する病変はつくりません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-07.html)を加工して作成