32 歳の男性。右上肢の筋力低下を訴えて受診し、理学療法が開始された。筋力を評価…
32 歳の男性。右上肢の筋力低下を訴えて受診し、理学療法が開始された。筋力を評価するために、右上肢を前方挙上して壁を押させた時の様子を図に示す。その結果、右肩甲骨の内側縁全体が胸郭から離れる現象が認められた。筋力低下が最も疑われる筋はどれか。
- ⑴ 棘下筋棘下筋は肩関節外旋に働く回旋筋腱板の一つで、肩甲骨を胸郭に固定する作用はありません。筋力低下では外旋筋力が落ちます。
- ⑵ 肩甲下筋肩甲下筋は肩関節内旋に働く筋です。障害されると内旋筋力が低下しますが、肩甲骨が胸郭から浮くことはありません。
- ⑶ 広背筋広背筋は上腕を内転・内旋・伸展させる筋です。肩甲骨を胸郭へ押し付ける作用はないため、翼状肩甲の原因にはなりません。
- ⑷ 前鋸筋前鋸筋は肩甲骨を胸郭に押し付けて固定する筋で、筋力低下により壁を押した際に内側縁全体が浮き上がる翼状肩甲が生じます。
- ⑸ 大円筋大円筋は上腕の内旋・内転に働く筋で、肩甲骨下角から起こりますが胸郭に固定する働きはありません。
解説
最も疑われるのは前鋸筋です。上肢を前方挙上して壁を押させたときに肩甲骨の内側縁全体が胸郭から浮き上がる現象は翼状肩甲と呼ばれ、肩甲骨を胸郭に押し付けて固定する前鋸筋の筋力低下で生じます。前鋸筋は長胸神経に支配され、この神経の障害でも同じ所見が現れます。棘下筋や肩甲下筋は上腕骨に付着して肩関節を回旋させる筋であり、肩甲骨を胸郭へ引き寄せる作用はありません。広背筋と大円筋は上腕を内転・内旋させる筋で、これらの筋力低下では肩甲骨の浮き上がりは説明できません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-08_09.html)を加工して作成