42 歳の男性。2 週前に感冒症状が出現。3 日前から両下肢のしびれと脱力を自覚…
42 歳の男性。2 週前に感冒症状が出現。3 日前から両下肢のしびれと脱力を自覚し、症状が進行したため精査入院。握力は両側5 kg 未満。MMT は上肢3 、下肢2 。四肢の深部腱反射は消失し病的反射は認めない。表在感覚は両側下腿以下で重度に低下し異常感覚を伴う。神経伝導検査で両側正中神経および両側腓骨神経の活動電位の振幅の著明な減少を認める。最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 髄膜炎髄膜炎は発熱、頭痛、項部硬直を主症状とし、四肢の弛緩性麻痺や末梢神経伝導検査の異常は説明できません。先行感染という点だけが共通するため紛らわしくなります。
- ⑵ 多発性筋炎多発性筋炎は近位筋優位の筋力低下を示しますが、感覚障害を伴わず腱反射は保たれます。神経伝導検査は正常で、血液検査で筋逸脱酵素の上昇がみられます。
- ⑶ 多発性硬化症多発性硬化症は中枢神経の脱髄疾患で、症状が時間的にも空間的にも多発します。腱反射は亢進し病的反射が出現するため、本例の所見とは逆になります。
- ⑷ 筋萎縮性側索硬化症筋萎縮性側索硬化症は感覚障害を伴わず、腱反射の亢進と病的反射の出現がみられます。数日で進行する経過も、この疾患の緩やかな進行とは一致しません。
- ⑸ Guillain-Barré 症候群先行感染の後に急速に進む左右対称の弛緩性麻痺、腱反射消失、感覚障害という組合せが典型的です。神経伝導検査での振幅低下も末梢神経の広範な障害を示しています。
解説
正解は⑸です。感冒症状の1〜2週後に、四肢の左右対称な弛緩性の筋力低下と感覚障害が急速に進行し、深部腱反射が消失して病的反射を認めない点は、ギラン・バレー症候群に典型的な経過です。神経伝導検査で複数の末梢神経の活動電位の振幅が著明に低下していることも、末梢神経が広く障害されていることを裏づけます。中枢神経の障害であれば、腱反射はむしろ亢進します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成