その後、急性期病院で2 週間の保存的治療を受け、回復期リハビリテーション病院に転…
次の文により、 4 、 5 の問いに答えよ。51 歳の女性。突然の意識障害で急性期病院に搬入された。意識レベルはJCSⅢ-200。血圧182/102 mmHg。心拍数72/分。項部硬直は陽性。発症時の頭部CT(別冊No. 1)を別に示す。
その後、急性期病院で2 週間の保存的治療を受け、回復期リハビリテーション病院に転院した。転院後、徐々に自発性低下、行動異常および頻回な転倒を認めた。転院してから約2 週後の頭部CT(別冊No. 2)を別に示す。考えられる他の特徴的な症状はどれか。
- ⑴ 下痢下痢は消化管の感染や薬剤の副作用で起こる症状で、水頭症による脳室拡大とは結びつきません。むしろ排便の異常としては便秘が問題になることの方が多くなります。
- ⑵ 発熱発熱は髄膜炎やシャント感染など感染症を疑う所見です。転院後2週かけて緩やかに自発性が低下した本例の経過は、感染ではなく水頭症の進行を示しています。
- ⑶ 血圧上昇血圧上昇は急性の頭蓋内圧亢進や脳幹の圧迫でみられます。正常圧水頭症はその名のとおり髄液圧が正常範囲にとどまるため、血圧上昇は特徴的な症状になりません。
- ⑷ 視野障害視野障害は後頭葉や視放線、視交叉の障害で生じます。三徴に含まれず、脳室拡大による前頭葉機能や歩行の障害という本例の症状の組み立てとも合いません。
- ⑸ 排尿障害歩行障害と認知機能低下に加えて尿失禁を示す排尿障害が、正常圧水頭症の三徴の残る一つです。前頭葉の排尿抑制が働きにくくなるため、切迫性の尿失禁として現れます。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。くも膜下出血の発症から数週後に、頻回の転倒として現れる歩行障害と、自発性低下や行動異常といった認知機能の低下が生じており、頭部CTでも脳室の拡大が示唆されることから、続発性の正常圧水頭症が考えられます。この病態の三徴は歩行障害、認知症、尿失禁であり、残る特徴的な症状として排尿障害が挙がります。髄液シャント術で改善が見込めるため、早期に気付くことが大切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成