この患者で疑う疾患はどれか。
次の文により、 4 、 5 の問いに答えよ。51 歳の女性。突然の意識障害で急性期病院に搬入された。意識レベルはJCSⅢ-200。血圧182/102 mmHg。心拍数72/分。項部硬直は陽性。発症時の頭部CT(別冊No. 1)を別に示す。
この患者で疑う疾患はどれか。
- ⑴ 髄膜炎項部硬直がみられる点は共通するため迷いますが、髄膜炎では発熱と頭痛が数時間から数日かけて強まるのが通常で、前触れなく意識障害で倒れる経過には合いません。本例に発熱の記載もありません。
- ⑵ 脳腫瘍脳腫瘍は頭痛や麻痺、けいれんが週から月の単位で進行するのが典型で、突然の発症や項部硬直は説明できません。頭部CTでも腫瘤影と周囲の浮腫が主体になります。
- ⑶ 脳膿瘍脳膿瘍は発熱と局所の神経症状を伴って亜急性に進む感染性の病態で、副鼻腔炎や心内膜炎などの感染源が先行します。突然の意識障害という発症の仕方が合いません。
- ⑷ くも膜下出血突然の発症、髄膜刺激徴候である項部硬直、著明な血圧上昇がそろっており、頭部CTで脳槽に沿った高吸収域を認めるため、動脈瘤破裂によるくも膜下出血が最も疑われます。
- ⑸ 急性硬膜下血腫急性硬膜下血腫は頭部外傷が前提となり、CTでは脳表に沿った三日月形の高吸収域を示します。本例には外傷の記載がなく、項部硬直も通常は目立ちません。
解説
正解は⑷です。突然の意識障害で発症し、項部硬直が陽性で、血圧が182/102 mmHgと著明に高いという経過は、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血に典型的です。発症直後の頭部CTでは、脳底部の脳槽やシルビウス裂に沿ってヒトデ状に広がる高吸収域がみられます。他の選択肢は、発熱や外傷といった先行する要因を欠く点、あるいは症状が数日から数か月かけて進行する点で、この突然発症の経過には合いません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成