気管切開患者に対する痰の吸引で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
気管切開患者に対する痰の吸引で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
- ⑴ ファインクラックル〈fine crackles・捻髪音〉を聴取したので吸引する。捻髪音は吸気の終わりに聴かれる細かい断続性副雑音で、間質性肺疾患などを示します。痰の貯留を示すのは粗い断続性副雑音であり、吸引の根拠にはなりません。
- ⑵ 無菌的な操作を行う。気管内は本来無菌の領域ですので、滅菌手袋と滅菌カテーテルを用いた無菌的な操作が必要です。操作が不十分だと人工呼吸器関連肺炎などの感染を招きます。
- ⑶ 成人の吸引圧は80 mmHg 程度が推奨される。成人ではおよそ20 kPa、水銀柱でいえば150 mmHg程度を超えない範囲で設定します。80 mmHgでは分泌物を十分に吸引できず、目的を果たせません。
- ⑷ 吸引カテーテルの先端が気管分岐部に当たらない深さにとどめる。カテーテルを深く挿入すると気管分岐部の粘膜を傷つけ、出血や強い咳嗽、迷走神経反射による徐脈を招きます。分岐部に当たらない深さで止めることが原則です。
- ⑸ 吸引カテーテルを気道内でピストン運動させる。気道内でカテーテルを上下に動かすと粘膜を繰り返し損傷します。挿入後は静かに引き抜きながら吸引し、1回の操作を10〜15秒以内にとどめます。
解説
正解は⑵と⑷です。気管切開部からの吸引は本来無菌である気道に直接カテーテルを入れる手技ですので、無菌的な操作で行い、カテーテルの先端が気管分岐部に当たらない深さにとどめます。深く入れすぎると粘膜を傷つけ、出血や迷走神経反射による徐脈を招きます。成人の吸引圧はおよそ20 kPaを超えない範囲とし、1回の吸引は10〜15秒以内にします。捻髪音は間質の病変を示す音で、痰の貯留を示す所見ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成