30 歳の女性。バドミントンの選手である。膝前十字靱帯損傷を予防するための指導で…
30 歳の女性。バドミントンの選手である。膝前十字靱帯損傷を予防するための指導で最も適切なのはどれか。
- ⑴ 後方重心を意識した動作を指導する。後方重心では着地時に膝屈曲が浅いまま大腿四頭筋が強く働き、脛骨を前方へ引き出す力が増して前十字靱帯への負担が大きくなります。予防としては逆効果です。
- ⑵ 体幹浅層の筋力トレーニングを指導する。体幹の浅層筋だけを鍛えても骨盤と体幹の安定性は得にくく、膝の外反を防ぐ効果は限られます。腹横筋や多裂筋など深層の安定化筋を含めて働かせることが重視されます。
- ⑶ 下肢遠位筋の協調性トレーニングを指導する。下肢遠位の協調性も無意味ではありませんが、着地時の膝の外反を決めるのは主に股関節と体幹の制御です。遠位筋に限った指導では予防効果が乏しくなります。
- ⑷ ジャンプ着地時に膝が内反位にならないように指導する。危険なのは内反ではなく外反です。着地で膝が内側へ入る肢位が前十字靱帯を損傷させますので、内反位にならないようにという指導は向きが逆になっています。
- ⑸ 静的な姿勢保持からバランストレーニングに進めるように指導する。静的な姿勢保持で正しいアライメントを学習させ、そこから動的バランス、ジャンプ着地へと段階的に難度を上げる進め方は、前十字靱帯損傷の予防プログラムの標準的な組み立てです。
解説
正解は⑸です。前十字靱帯損傷の予防プログラムは、静的な姿勢保持で体幹と下肢のアライメントを保てるようにしてから、動的なバランス練習や着地動作の練習へ段階的に進めるのが基本です。前十字靱帯は着地や方向転換のときに膝が外反し下腿が外旋する肢位で強く緊張しますので、体幹深層筋と股関節周囲筋を働かせて膝の外反を抑える能力を高めることが要点になります。後方重心や内反の回避を勧める指導は、負担を減らす方向とは逆になります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-08_09.html)を加工して作成