問4 発表原稿2 の内容から判断して,EU の通貨統合を説明するものとして適切で…
生徒Xは,作成した発表原稿1 ,発表原稿2 をもとに,金融に関する発表を行った。問1 ~問5
に答えよ。 発表原稿1 資金を,余っているところから足りないところへ融通するのが金融です。金融が存在する ことで,⒜企業や家計などは手持ち資金以上の経済活動ができるようになり,社会が豊かに なると考えられます。 金融には大きく二つの方法があります。一つは直接金融です。これは金融市場を通じて株 式や社債などを発行し,資金を調達するものです。もう一つは間接金融です。これは図1 の ように金融機関からの貸付により資金を調達するものです。 直接金融では,株式を発行した側は購入した側に利潤の中から配当を支払い,社債を発行 した側は購入した側に利息をつけて返済する,というしくみになっています。一方間接金融 では,借入した側が借入額に利子をつけて返済します。その際の利子の割合を金利(利子率) といいます。ちなみに図1 中の金利Aと金利Bを比較すると, A という関係になります。 金利は,基本的に需要と供給の関係で変化します。一般に金利は,資金需要が拡大する好 況期には B し,逆に資金需要が縮小する不況期には C します。この関係を利用 し,景気や物価の安定を図るために金利の調整を行うことは,日銀(日本銀行)が行う⒝金融 政策の重要な手段の一つとなっています。 図1 間接金融のしくみ 預貯金 返済(金利A) 貸付 返済(金利B) 資金が余っている 企業・家計など 銀行などの 金融機関 資金が不足している 企業・家計など 日銀は,政府から独立して金融政策を行います。日銀は唯一,紙幣(法定通貨)の発行を認 められ,金融政策を行い,また政府資金の出し入れを行います。このような役割を担う銀行 を中央銀行といいます。 日本以外の国でも,通例は主権国家ごとに中央銀行があります。しかしEU(欧州連合) は,1998 年に主権国家を超えた共通の中央銀行であるECB(欧州中央銀行)を設立しまし た。その結果EU 域内では通貨統合が実現しました。これに参加する各国の中央銀行が発行 する独自通貨は廃止され,ECB が発行する共通通貨ユーロが法定通貨とされており,また 通貨統合に参加する各国では,ECB が一元的で単一の金融政策を行っています。 通貨統合は,EU が⒞域内の経済的効果を高めることを期待して開始したもので,世界的 にも珍しい試みです。成立から20 年を超えたEU 通貨統合の現状について,その経済的効 果を知りたいと考えています。
問4 発表原稿2 の内容から判断して,EU の通貨統合を説明するものとして適切でないもの を,次の1 ~4 のうちから一つ選べ。
- 1 EU の通貨統合に参加している複数の国を旅行する際は,両替の必要がないので,国境を超えるときの手間やコストが省略される。同じ通貨を使うので、両替の手間や費用がなくなります。
- 2 EU の通貨統合参加国では,共通の中央銀行が設立されているが,それぞれの国の景気の状況に応じて,各国の中央銀行がそれぞれ独自の金融政策を行うことができる。金融政策の権限は欧州中央銀行にあり、各国では行えません。
- 3 EU の通貨統合参加国では,価格が単一の通貨単位ユーロで表示されることになったので,販売される商品の各国ごとの価格を容易に比較できる。同じ単位で表示されるので、価格を比べやすくなります。
- 4 EU の通貨統合に参加している各国間で貿易をする際,為替レートの変動がないため,為替レートの変動リスクを気にせずに輸出入を行うことができる。為替レートが変わらないので、為替リスクがなくなります。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は2です。EUの通貨統合に参加した国は、金融政策の権限を欧州中央銀行(ECB)に移しており、各国の中央銀行が独自の金融政策を行うことはできません。これが通貨統合の大きな特徴であり、同時に各国の景気に合わせた対応が取りにくいという課題にもなっています。1の両替が不要になること、3の価格を比べやすくなること、4の為替リスクがなくなることは、いずれも正しい内容です。
出典:文部科学省ホームページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/kakomon/1411255_00018.htm)を加工して作成