問2 下線部分⒝サルトルの考え方に関連して,生徒Ⅹは,実存主義の思想を手掛かりに…
生徒たちは「公共」の学習のはじまりとして,「公共的な空間」をつくる私たちの生き方や考え方 について学んでいる。問1 ~問5 に答えよ。 1 生徒Xと生徒Yが,自分の進路について会話している。 会話文 生徒X:ホームルームで「進路希望調査」があったけど,どうするか何も決まってないんだよ ね。 生徒Y:そうなんだ。私は大学に進学することにしていて,専攻は社会学か国際関係学にしよ うと思っているよ。 生徒X:もう決まっているなんて,すごいね。でも,大学に行って勉強することで,どのよう な力を身に付けることができるんだろう。卒業後に就職する企業が求める能力とは, 違ったりしないのかな。 生徒Y:私も気になって,⒜企業が求める能力等と大学での学びとの関係について資料を調べ たんだ。企業へのアンケートでは,大学生などに主体性や実行力を多くの企業が求め るようだけれど,それらは,具体的に測定するのは難しいと思うんだよね。大学生へ の調査では,授業で身に付く技術や高められる能力もあるとわかるから,大学での過 ごし方も大事だと考えたよ。 生徒X:そうだよね。大学を卒業するまでの間で,AI やテクノロジーの進歩など社会も変化 するだろうから,求められる技術や能力も変わるかもしれない。ますます,進路につ いての悩みが出てきたなぁ。 生徒Y:昨日,「公共」の授業で実存主義を学んだよね。⒝サルトルの考え方が面白いと思った から,図書室で本を借りて読んでみたらいいよ。きっと,そこに,残りの高校生活を どのように過ごしていったらいいのかのヒントがあるんじゃないかな。
問2 下線部分⒝サルトルの考え方に関連して,生徒Ⅹは,実存主義の思想を手掛かりに,自分 の進路について考えた。次の資料3 を踏まえた見解として最も適切なものを,下の1 ~4 の うちから一つ選べ。
資料3 実存が本質に先立つとは,この場合何を意味するのか。それは,人間はまず先に存在 し,世界内で出会われ,世界内にふいに姿を現し,そのあとで定義されるものだという ことを意味するのである。実存主義の考える人間が定義不能であるのは,人間は最初は 何ものでもないからである。人間は後になって初めて人間になるのであり,人間はみず からがつくったところのものになるのである。このように,人間の本性は存在しない。 その本性を考える神が存在しないからである。人間は,みずからそう考えるところのも のであるのみならず,みずから望むところのものであり,実存してのちにみずからの考 えるところのもの,実存への飛躍ののちにみずから望むところのもの,であるにすぎな い。人間はみずからつくるところのもの以外の何ものでもない。 (サルトル『実存主義とは何か』より)
- 1 自分がどうすべきかの答えはあらかじめ決まっているので,残りの高校生活は,先生に相談をすることなく,自然に進路が決まるのを待つべきだ。答えがあらかじめ決まっているという見方は実存主義と反対です。
- 2 自分がどうすべきかの答えはあらかじめ決まっていないので,残りの高校生活は,進学や就職の情報を調べて,進路選択に向けて行動するべきだ。自分でつくるという考え方から、情報を集めて行動する姿勢が導けます。
- 3 進路を選ぶために自分自身で考えるのは悩んでしまって大変なので,自ら考えるのではなく,クラスメイトと同じように,受験勉強をするべきだ。自ら考えることをやめる姿勢は、資料の趣旨と合いません。
- 4 進路を選ぶのは自分自身ではないので,残りの高校生活は,神によって定められた職業に就くことができるようにインターンシップをするべきだ。資料3は、人間の本性を考える神は存在しないと述べています。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は2です。資料3でサルトルは、人間はまず存在し、あとからみずからつくるものになると述べています。つまり何になるべきかはあらかじめ決まっておらず、自分の選択と行動で決まるという考え方です。したがって進路についても、情報を集めて自分から動くという見解が最も合います。決まっているから待つ、人任せにする、神が定めるという見方はいずれも反対の立場になります。
出典:文部科学省ホームページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/kakomon/1411255_00017.htm)を加工して作成