問5 下線部分⒟どの権利を優先すべきかそれぞれ主張や立場が違うに関連して,基本的…
次の会話文を読んで,問1 ~問5 に答えよ。 会話文 先 生:今日は,夏休み前,最後の授業でしたね。夏休みのレポートは,法の意義や役割につい てです。テーマを決めて取り組んでください。法は,すべての人が自由にお互いを尊重 しながら共生していくための強制力のあるルールです。レポートは,どんなテーマにし ますか。 生徒X:一人ひとりがそれぞれの自由を追い求めると,他の人の自由と衝突し,トラブルが起き ますよね。私は,トラブルが起きたときの⒜法と自由の関係をテーマにしようと思いま す。 先 生:いいテーマですね。テーマを決めやすいように,もう少し法について説明しておきます ね。法には,国家と国民の間を規律する公法(憲法, A など)と,私人同士の関係 を規律する私法(民法, B など)があります。また,法の機能については,人の行 動を規制し社会の秩序を維持する機能,人の活動を促進する機能,⒝紛争を解決する機 能,資源を配分する機能の四つの機能があると考えることができます。インターネット などを使って,具体的な例を調べてみてください。 生徒Y:人の活動を促進する機能とは,人々が自主的な活動を行う際の指針となり,その活動を 予測可能で安全なものにするものだと法務省のホームページに書いてありました。例え ば,売買契約を結ぶとき,日本の民法では,「 C 」という原則があり,⒞安心して 物を買ったり売ったりすることができます。私は,法と消費者の権利をテーマにしてみ ようと思います。 生徒Z:人の行動を規制し社会の秩序を維持する機能や人の活動を促進する機能は,いずれも, 紛争を未然に防ぐためのものですよね。それでも紛争が生じた場合に,法には,その紛 争を解決する機能もあるんですね。 生徒X:例えば,道路の左側車線で車同士の正面衝突の事故が起き,どちらに非があるのかを 巡って紛争になりそうになったとき,法で「車は左側を通行する」と決めてあれば,どち らに責任があるのかを容易に判断することができると思います。 生徒Y:当事者同士で容易に解決できない紛争に対して,どちらに責任があるか,法に照らして 判断し,解決を図る国家機関が裁判所ですよね。 生徒Z:法は,すべての人に平等に権利を保障しているけれど,⒟どの権利を優先すべきかそれ ぞれ主張や立場が違うので,裁判所が,法に照らしてどちらの主張を認めるか難しいで すね。私は,人権と裁判をテーマにしてみようと思います。
問5 下線部分⒟どの権利を優先すべきかそれぞれ主張や立場が違うに関連して,基本的人権へ の理解を深めるため模擬裁判を行うことになり,生徒Zは訴えた側の弁護を担当することに なった。次の訴えた側の主張の弁護となりうる組合せとして適切なものを,下の1 ~4 のう ちから一つ選べ。
訴えた側の主張 私は,8 年前に建造物侵入罪で逮捕され,罰金刑に処せられ,罰金を納付しました。 しかし,自分の名前をSNS 事業者の検索機能を使って検索すると,すでに罪を償って いるのに,8 年前の逮捕に関する報道を引用した投稿がまだ閲覧できる状態になってい ます。SNS 事業者に,報道を引用した投稿の削除を求めます。 ア 表現の自由は最大限尊重されなければならない権利であり,SNS 事業者や投稿者の表 現の自由を規制するべきではない。 イ 就職先を探すのに不利になったり,就職してもこの情報で人間関係が悪化したり,家族 が誹謗中傷されたりするおそれがある。 ウ 情報を社会に提供するSNS 事業者の役割とプライバシー保護を比べてみると,本件に ついては,プライバシー保護を優先すべきである。
- 1 アとイアは削除に反対する立場の主張なので、訴えた側の弁護にはなりません。
- 2 アとウアは相手側の立場の主張なので、この組合せは当てはまりません。
- 3 イとウ不利益を述べたイと、プライバシー保護を優先すべきだとしたウが弁護になります。
- 4 アとイとウアを含めると、削除に反対する立場の主張まで入ってしまいます。
解説
正解は3です。訴えた側は、すでに罪を償ったのに過去の逮捕報道が閲覧できる状態にあるとして、投稿の削除を求めています。したがって弁護になるのは、削除しないことで生じる不利益を述べたイと、プライバシー保護を優先すべきだとしたウです。アは表現の自由を理由に規制すべきでないという主張なので、削除を求める側ではなくSNS事業者側の立場になります。どちらの側の主張かを見分けることが大切です。
出典:文部科学省ホームページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/kakomon/1411255_00013.htm)を加工して作成