手術後の経過は良好であり、4日目に1日5回の分食による食事が開始された。食事内容…
K 病院に勤務する管理栄養士である。患者は、70 歳、男性。妻と二人暮らし。数日前から食後に嘔吐を繰り返しており、食事が食べられなくなったため、近医を受診した。胃がんの疑いがあると近医から当院を紹介され受診し、内視鏡検査の結果、幽門狭窄を認める胃がんと診断され入院した。身長168 cm、体重55 kg、BMI 19. 5 kg/m2。血圧116/70 mmHg。入院時の血液検査値は、総たんぱく質6. 0 g/dL、アルブミン3. 0 g/dL、Hb 10. 6 g/dL。
手術後の経過は良好であり、4日目に1日5回の分食による食事が開始された。食事内容は、流動食から開始され、段階的に食上げされた。8日目の朝食は、5分粥食を7割程度摂取でき、昼食は全粥食が提供された。患者が昼食を食べ始めて30 分経過し、8割程度を食べ終えたところ、動悸、顔面紅潮がみられ、腹痛と下痢を認めた。4日目の食事開始前に栄養食事指導をしていたが、担当医師の指示により、夕食を提供する前に再度指導を行うこととなった。管理栄養士の発言として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 食事に慣れるまでは嘔吐することもありますので、心配ありませんよ。慣れるまでこの調子で食べましょう。症状への対応をとらずに同じ食べ方を続けると、繰り返し起こります。
- ⑵ 食事を残してもかまいませんので、食べられる分だけ、もっとゆっくりよく噛んで食べましょう。一度に流れ込む量を減らす助言で、早期ダンピング症候群の対応にあたります。
- ⑶ 全粥食よりも消化しやすい5分粥食に戻します。食形態の問題ではなく食べ方の問題のため、段階を戻す必要はありません。
- ⑷ 血糖値が低下した可能性があります。食事に補食を付けますので、食後1~2時間後に食べてください。補食が有効なのは食後2〜3時間で起こる後期ダンピング症候群です。
解説
正解は⑵です。食後30分ほどで動悸や顔面紅潮、腹痛、下痢がみられたことから、早期ダンピング症候群が疑われます。高張な食物が急に小腸へ流れ込むことが原因のため、一度に食べる量を減らし、ゆっくりよく噛んで食べるよう助言します。胃切除後は、食後の時間と症状の組合せから早期と後期を見分けることが、対応を選ぶうえでの要点になります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17056.html)を加工して作成