A さんの回復は順調で、後遺症なく退院した。退院1か月後の外来で、A さんに生活…
次の文を読み97〜99 の問いに答えよ。A さん(50 歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7 ℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98 %(room air)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。
A さんの回復は順調で、後遺症なく退院した。退院1か月後の外来で、A さんに生活状況を聞くと、会話に対する反応は鈍く「この間、尿を漏らしてしまいました」と話した。家族は「最近物忘れが激しく、歩くのも遅くなりました」と話した。看護師がA さんに書類を渡すと、スムーズに受け取り、きれいな文字で名前を書いた。家族は「入院前と変わらない字で書けています」と言った。A さんに起こっている可能性が高いのはどれか。
- ⑴ 脳血管攣縮脳血管攣縮はくも膜下出血後おおむね2週間以内に生じ、意識障害や麻痺として急に現れます。退院1か月後に緩やかに進む症状の説明にはなりません。
- ⑵ 正常圧水頭症くも膜下出血後に髄液の流れや吸収が妨げられて生じ、認知機能の低下、歩行障害、尿失禁が特徴です。Aさんの経過と一致します。
- ⑶ 脳動脈瘤の破裂動脈瘤の再破裂であれば、突然の激しい頭痛や急な意識障害として現れます。緩やかに進む物忘れや歩行の変化とは異なります。
- ⑷ Parkinson〈パーキンソン〉病Parkinson病では安静時のふるえや筋のかたさがみられ、文字は小さくなりやすいのが特徴です。きれいな字を書けているAさんの所見とは合いません。
解説
正解は⑵です。くも膜下出血の後には、髄液の流れや吸収が妨げられて正常圧水頭症が生じることがあり、認知機能の低下、歩行の障害、尿失禁が三つの特徴的な症状として現れます。Aさんは反応が鈍く、物忘れが目立ち、歩くのが遅くなり、尿失禁もみられており、この経過に一致します。文字はきれいに書けており手の細かい動きは保たれていますので、小さな字になりやすいParkinson病の像とは異なります。髄液の排除により症状の改善が期待できるため、早期の受診と評価が大切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-03_04_05.html)を加工して作成