A さんの回復は順調で、後遺症なく退院した。退院か月後の外来で、A さんに生活…
A さんの回復は順調で、後遺症なく退院した。退院か月後の外来で、A さんに生活状況を聞くと、会話に対する反応は鈍く「この間、尿を漏らしてしまいました」と話した。家族は「最近物忘れが激しく、歩くのも遅くなりました」と話した。看護師がA さんに書類を渡すと、スムーズに受け取り、きれいな文字で名前を書いた。家族は「入院前と変わらない字で書けています」と言った。A さんに起こっている可能性が高いのはどれか。
- ⑴ 脳血管攣縮脳血管攣縮はくも膜下出血後おおむね2週間以内に生じ、意識障害や麻痺として急に現れます。退院1か月後に緩やかに進む症状の説明にはなりません。
- ⑵ 正常圧水頭症normal pressure hydrocephalusくも膜下出血後に髄液の流れや吸収が妨げられて生じ、認知機能の低下、歩行障害、尿失禁が特徴です。Aさんの経過と一致します。
- ⑶ 脳動脈瘤の破裂cerebral aneurysm動脈瘤の再破裂であれば、突然の激しい頭痛や急な意識障害として現れます。緩やかに進む物忘れや歩行の変化とは異なります。
- ⑷ Parkinson?パーキンソンC病Parkinson disease次の文を読み100〜102 の問いに答えよ。A さん87 歳、女性!は人で暮らしている。難聴のため補聴器を使用している。自宅で転倒して痛みで起き上がれなくなり、救急搬送され入院した。搬送先の病院で右大ô骨頸部骨折と診断され、全身麻酔下で人工骨頭置換術を受けた。術後は前腕部femoral neck fractureに点滴静脈内注射と右大ôの創部に吸引式ドレーンが一本挿入されている。手術直後の検査所見:赤血球410 万/μL、白血球7800/μL、Hb 12.0 g/dL、総蛋白6.5 g/dL、アルブミン4.0 g/dL、尿素窒素20 mg/dL、Na145 mEq/L、K 3.8 mEq/L。術後のドレーン出血量は少量である。創部痛に対して非ステロイド性抗炎症薬の坐薬と内服が処方され、手術当日の21 時に坐薬を使用した。Parkinson病では安静時のふるえや筋のかたさがみられ、文字は小さくなりやすいのが特徴です。きれいな字を書けているAさんの所見とは合いません。
解説
正解は⑵です。くも膜下出血の後には、髄液の流れや吸収が妨げられて正常圧水頭症が生じることがあり、認知機能の低下、歩行の障害、尿失禁が三つの特徴的な症状として現れます。Aさんは反応が鈍く、物忘れが目立ち、歩くのが遅くなり、尿失禁もみられており、この経過に一致します。文字はきれいに書けており手の細かい動きは保たれていますので、小さな字になりやすいParkinson病の像とは異なります。髄液の排除により症状の改善が期待できるため、早期の受診と評価が大切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-03_04_05.html)を加工して作成