A さんはその後しばらく会話をしたり、食事も少し食べられたりしていたが、入院日…
A さんはその後しばらく会話をしたり、食事も少し食べられたりしていたが、入院日から、臥床したままで日中全く動かず、昏迷状態になった。検査の結果、軽度の脱水以外の異常はなかった。治療として修正型電気けいれん療法が開始されることになり、実施後20 分でA さんは覚醒し、その後の観察中にけいれん発作は認めなかった。実施後30 分、A さんは突然起き上がり興奮し、大きな声で「仕事に行く」と言って病室から出ていこうとした。看護師が制止し、一緒に座って話を聞いたところ、見当識障害、記憶障害、注意障害が認められた。A さんの状態で正しいのはどれか。
- ⑴ せん妄急な発症と注意障害、見当識障害、精神運動興奮がそろっており、電気けいれん療法後に生じたせん妄と判断できます。
- ⑵ 躁状態躁状態では気分の高揚や観念奔逸が続きますが、見当識障害や注意障害は通常伴いません。急に始まって短時間で変動する点も合いません。
- ⑶ 不安発作不安発作では動悸や息苦しさ、強い不安が中心で、見当識障害や記憶障害は生じません。
- ⑷ 前向性健忘前向性健忘は新しいことを覚えられない記憶の障害のみを指します。興奮や注意障害、見当識障害を含む本事例の状態は説明できません。
解説
正解は⑴です。Aさんは修正型電気けいれん療法の実施後に、突然起き上がって興奮し、見当識障害、記憶障害、注意障害を示しています。急に始まり、注意の障害と意識水準の変動を伴い、精神運動興奮が現れている点から、これはせん妄と判断できます。電気けいれん療法の後や、脱水、高齢、身体的な負荷が加わったときに起こりやすく、多くは短時間で回復します。対応としては安全の確保と静かな環境、脱水の補正、見当識を支える声かけを行います。躁状態や不安発作では注意障害と見当識障害がそろって現れることはなく、前向性健忘は記憶の障害のみを指します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-03_04_05.html)を加工して作成