A さんの分娩は進行し、午後1 時に子宮口が全開大した。来院後から500 mL …
次の文を読み44~46 の問いに答えよ。A さん(39 歳、1 回経産婦)、妊娠経過は順調で無痛分娩をする予定だった。妊娠37 週1 日、3 時間前から続く腹痛と性器出血を主訴に、午前9 時に産婦人科を受診した。意識は清明だが、痛みのため苦悶様の表情で、子宮は硬い。バイタルサインは、体温37.3 ℃、脈拍69/分、整、血圧114/72 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97 %(room air)。内診所見は、未破水、子宮口3 cm 開大、展退度50 %、Station -1、児頭が触れた。胎児心拍が消失しており胎児死亡と診断された。このときの腹部超音波断層法写真(別冊No. 1)を別に示す。
A さんの分娩は進行し、午後1 時に子宮口が全開大した。来院後から500 mL の性器出血を認めている。意識は清明で、バイタルサインは、体温37.4 ℃、脈拍88/分、整、血圧103/74 mmHg。血液検査所見は、赤血球324 万/μL、Hb 8.6g/dL、白血球9,700/μL、血小板6.0 万/μL、フィブリノゲン92 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、AST 18 IU/L〈U/L〉、ALT 16 IU/L〈U/L〉。このときのアセスメントで正しいのはどれか。
- ⑴ HELLP 症候群である。AST・ALTは正常で溶血の所見もなく、HELLP症候群の基準を満たしません。
- ⑵ 出血性ショックである。血圧103/74 mmHg、脈拍88/分と保たれており、ショックには至っていません。
- ⑶ 弛緩出血を起こしている。まだ分娩前であり、弛緩出血は胎盤娩出後に起こる病態です。
- ⑷ 凝固能が低下した状態である。血小板とフィブリノゲンがともに大きく低下しており、凝固能の低下を示しています。
解説
正解は⑷です。血小板6.0万/μL、フィブリノゲン92 mg/dLはいずれも大きく低下しており、常位胎盤早期剝離に伴って凝固因子が消費される播種性血管内凝固が進んでいる状態です。フィブリノゲンが150 mg/dLを下回ると危機的出血につながるため、新鮮凍結血漿の投与など速やかな対応が必要です。血圧は保たれておりショックには至っておらず、AST・ALTは正常でHELLP症候群には当てはまりません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-03_04_05.html)を加工して作成