その後、A さんは定期的に妊婦健康診査を受診し、経過は順調であった。妊娠31 週…
次の文を読み42〜44 の問いに答えよ。A さん(21 歳、初産婦、未婚)。高校卒業後、友人を頼りに上京したが、定職がなく不定期のアルバイトで収入を得て生活をしている。元来、月経周期が不規則であり、最近は長期間無月経であったが気にせず過ごしていた。3日ほど前から下腹部に時々痛みを感じ、腫れた感じがするため、産婦人科医院を受診した。診察前の尿検査で妊娠反応陽性、超音波検査で子宮内に胎児が確認され、児頭大横径55 mm。子宮底長20 cm、腹囲66 cm。最終月経の開始日は6か月前である。現在交際中のパートナーはなく、3か月前までは複数の男性との交際歴があり胎児の父親は不明であるという。
その後、A さんは定期的に妊婦健康診査を受診し、経過は順調であった。妊娠31 週頃より左鼠径部に限局して痛みが強い水疱を伴う複数の皮疹が出現した。妊娠32 週に血清抗体検査が行われ、検査結果では単純ヘルペス抗体検査はIgG とIgM いずれも陰性、水痘・帯状疱疹ウイルス抗体IgG 陽性、IgM 陰性であった。妊娠34 週に受診の際には皮疹は痂皮化していた。この時点で助産師のA さんへの説明で正しいのはどれか。
- ⑴ 「母乳での育児はできません」母乳を介した感染はなく、母乳育児は可能です。
- ⑵ 「痛みが残ることはありません」帯状疱疹後神経痛として、痛みが残ることがあります。
- ⑶ 「胎児への感染の心配はありません」ウイルスが血液中に広がらないため、胎児に感染しません。
- ⑷ 「分娩後はワクチンを接種しましょう」すでに感染しており、ワクチンの必要はありません。
- ⑸ 「原因ウイルスの初回の感染で生じた症状です」初回の感染は水痘であり、今回は再活性化によるものです。
解説
正解は⑶です。帯状疱疹は、以前に感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節で再活性化したもので、ウイルスが血液中に広がらないため胎児への感染は起こりません。抗体の結果もIgG陽性・IgM陰性で既感染を示しています。母乳育児は可能で、帯状疱疹後神経痛が残ることもあり、既感染者にワクチンは不要になります。水痘に未感染の人との接触は避けるよう伝え、皮疹が痂皮化するまで配慮します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-03_04_05.html)を加工して作成