その後の妊娠経過は順調で、血液検査では甲状腺機能は正常範囲であった。妊娠34 週…
次の文を読み39〜41 の問いに答えよ。A さん(33 歳、初産婦)。30 歳で甲状腺機能亢進症を発症し、Basedow〈バセドウ〉病の診断により甲状腺亜全摘術を受け、レボチロキシンの内服を継続していた。Aさんは無月経を主訴に産婦人科を受診して、妊娠6週相当と診断された。また、診察で子宮体部の筋層内に複数の子宮筋腫が指摘されて子宮体部全体は新生児頭大であった。
その後の妊娠経過は順調で、血液検査では甲状腺機能は正常範囲であった。妊娠34 週の妊婦健康診査の超音波検査で胎児の甲状腺の腫大が確認された。産科医師からA さんに、出産後に児の甲状腺機能亢進症が生じる可能性が告げられた。診察後にA さんは助産師に「私のバセドウ病は落ち着いているのに、どうして赤ちゃんの甲状腺機能が異常になるのでしょうか」と訴えた。A さんの児の甲状腺機能亢進症が生じる原因で正しいのはどれか。
- ⑴ ヒト絨毛性ゴナドトロピンhCGの影響は妊娠初期にみられ、この時期とは異なります。
- ⑵ 甲状腺切除手術の既往手術の既往そのものが、児に影響するのではありません。
- ⑶ レボチロキシンの内服レボチロキシンの移行は少なく、原因になりません。
- ⑷ 自己抗体の胎盤通過IgGである自己抗体が胎盤を通過し、胎児の甲状腺を刺激します。
- ⑸ 胎児の甲状腺癌胎児の甲状腺癌は、きわめてまれで該当しません。
解説
正解は⑷です。バセドウ病では甲状腺を刺激する自己抗体が作られ、手術で甲状腺を摘出した後も抗体は残ります。この抗体はIgGであるため胎盤を通過して胎児の甲状腺を刺激し、甲状腺の腫大や機能亢進症を生じます。hCGや手術の既往そのもの、レボチロキシンの内服、胎児の甲状腺癌が原因になるわけではありません。出生後は児の甲状腺機能を確かめ、必要に応じて治療につなげます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp200414-03_04_05.html)を加工して作成