高次医療施設に搬入された直後に、産科医師がA さんを診察すると、腟分泌物は血性少…
次の文を読み51、52 の問いに答えよ。A さん(23 歳、女性、未婚)。妊娠歴なし。コンビニエンスストアでパート勤務をしている。勤務中に突然の腹痛と腟からの中等量の出血があり、早退して職場近くの婦人科クリニックを受診した。半年以上前から月経がないことを自覚していたが、医療機関は受診していなかった。意識は清明で、腹部は膨隆し、心窩部と下腹部に痛みを訴えている。下肢の浮腫著明。身長155 cm、体重80 kg(非妊時体重60 kg)、体温36.5 ℃、脈拍90/分、血圧178/100 mmHg。婦人科の医師が診察すると子宮内から少量の流血があり、経腹超音波検査で妊娠後期と思われる胎児を認めた。胎盤の辺縁に血腫を疑う像があり、子宮収縮に一致して胎児徐脈がみられた。婦人科クリニックの医師は、直ちに産婦人科とNICU のある高次医療施設に救急搬送受け入れを依頼した。
高次医療施設に搬入された直後に、産科医師がA さんを診察すると、腟分泌物は血性少量、子宮口は1cm 開大、経腹超音波検査で約80 bpm の胎児徐脈を認め、回復の徴候が認められなかった。救急処置室から直ちに手術室に移送され、全身麻酔下の緊急帝王切開術で2,830 g の女児を出産した。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後3点、5分後7点、臍帯動脈血pH 値7.02 であった。NICU 医師によって蘇生処置が行われた。出血量は羊水を含めて800 mL であった。A さんは術後、ICUに収容された。娩出されたA さんの胎盤の写真(別冊No. 4)を別に示す。A さんの術後に最も注意すべきなのはどれか。
- ⑴ 肺血栓塞栓症起こりうる合併症ですが、最も警戒すべきものではありません。
- ⑵ 術後出血凝固因子が消費され、出血が続く危険が高くなります。
- ⑶ 肺水腫輸液の過剰で起こりますが、まず出血を警戒します。
- ⑷ 敗血症感染の徴候はなく、最優先の観察項目ではありません。
- ⑸ 心不全心不全も起こりえますが、まず出血に注意します。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。常位胎盤早期剝離では凝固因子が大量に消費されて産科DICに陥るため、手術が終わった後も子宮や創部からの出血が続く危険が高くなります。術後はまず出血量とバイタルサイン、凝固能の推移を注意深く観察します。肺血栓塞栓症や肺水腫、敗血症、心不全も起こりうる合併症ですが、最も警戒すべきは出血です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp190415-03_04_05.html)を加工して作成