A さんに関する判断で正しいのはどれか。
次の文を読み44〜46 の問いに答えよ。A さん(22 歳、1回経産婦)。妊娠初期のスクリーニング検査で甲状腺機能の異常を指摘されたため、妊娠12 週で大学病院の産科に紹介された。前回の妊娠中はほとんどつわりを感じなかったが、今回は妊娠9週ころからつわり症状が強く、毎日夕方になると数回嘔吐している。水分は何とか摂れているという。既往歴、生活歴および家族歴に特記すべきことはない。身長160 cm、体重50 kg(非妊時体重52 kg)。脈拍90/分、血圧120/70 mmHg。初診時、経腹超音波検査にて児の発育は週数相当で、羊水は中等量、胎児異常を認めない。甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉0.01 μIU/mL(成人女性基準値0.39〜3.98 μIU/mL)、遊離サイロキシン〈FT4〉3.84 ng/dL(成人女性基準値1.00〜1.70 ng/dL)。抗TSH 受容体抗体〈TRAb〉陽性。尿ケトン体+。
A さんに関する判断で正しいのはどれか。
- ⑴ 甲状腺クリーゼの状態である。高熱や頻脈などはなく、クリーゼの所見はありません。
- ⑵ 一過性甲状腺機能亢進症である。診断は検査の結果を踏まえて慎重に判断します。
- ⑶ 体重減少が重度になるおそれがある。嘔吐が続いており、さらに体重が減るおそれがあります。
- ⑷ 甲状腺シンチグラフィを勧める必要がある。放射性物質を用いるため、妊娠中は禁忌です。
- ⑸ ヨウ素を多く含む食品の摂取を勧める必要がある。ヨウ素の過剰摂取は、児の甲状腺機能に影響します。
解説
正解は⑶です。毎日数回の嘔吐が続き、すでに2kgの体重減少がみられることから、このまま進めば重症妊娠悪阻となり体重減少が重度になるおそれがあります。甲状腺クリーゼを示す所見はなく、甲状腺シンチグラフィは妊娠中は禁忌です。ヨウ素の過剰摂取も勧められず、まず脱水と栄養の状態を見守ることが大切です。水分と栄養の状態を確かめ、必要に応じて輸液につなげていきます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp180511-03_04_05.html)を加工して作成