ソクマル医師

術後は転居などで外来受診が滞っていた。術後4 年経過して、倦怠感が強く、日中ほと…

70 歳の男性。血便を主訴に来院した。現病歴 : 6 か月前から便秘が数日間続いたあとに下痢をするという便通異常を繰り返していた。3 日前から便秘があり、今朝、下痢をした後に血便を認めたため救急外来を受診した。既往歴 : 糖尿病で内服治療中。薬物アレルギーの既往はない。生活歴 : 5 年前に会社を退職し、妻と同居している。娘は2 人おり、同居はしていない。喫煙は受診時まで10 本/日を40 年間。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 父は75 歳時に胃癌で死亡。母は86 歳時に肺炎で死亡。現 症 : 意識は清明。身長163 cm、体重54 kg。体温36.5 ℃。脈拍100/分、整。血圧150/80mmHg。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様である。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腹部全体に圧痛は認めない。直腸指診で腫瘤を触知しない。検査所見 : 血液所見:赤血球350 万、Hb 10.5 g/dL、Ht 30 %、白血球7,800、血小板25 万、PT-INR 1.1(基準0.9~1.1)、APTT 32.0 秒(基準対照32.2)、D ダイマー 0.9 μg/mL(基準1.0 以下)。血液生化学所見:アルブミン3.2 g/dL、AST26 U/L、ALT 17 U/L、尿素窒素25 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、血糖85mg/dL、HbA1c 6.6 %(基準4.9~6.0)、CEA 6.0 ng/mL(基準5 以下)、CA19-930 U/mL(基準37 以下)。CRP 0.1 mg/dL。腹部エックス線写真で大腸ガス像を認め、小腸ガス像は認めなかった。
術後は転居などで外来受診が滞っていた。術後4 年経過して、倦怠感が強く、日中ほとんどの時間を横になって過ごすようになり、食事が摂れなくて体重が1 か月前から10 kg 減ったとのことで受診した。画像検査で、多発肝腫瘍、多発肺腫瘍および多発リンパ節腫大を認めた。入院し中心静脈栄養を行ったが栄養状態は改善せず、全身状態はさらに悪化し、耐糖能異常や浮腫を認めるようになった。この患者の病態で正しいのはどれか。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。

解説

正解は⑸です。大腸癌の術後に多発肝・肺・リンパ節転移を来し、1か月で10kgの体重減少、著しい全身状態の低下(PS3〜4)、栄養療法に反応しない状態で、不応性悪液質と考えられます。がん悪液質は、がん細胞や宿主から放出される炎症性サイトカインなどにより代謝異常が生じ、骨格筋の減少を特徴とする病態です。がん細胞のエネルギー代謝(Warburg効果など)や全身の異化亢進が関連し、通常の栄養療法では改善しにくいのが特徴です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成

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