肛門と直腸の診察の結果、直腸内に径2 cm の硬結を指腹で触知し、指診後に血液の…
75 歳の女性。血便を主訴に来院した。現病歴 : 3 日前から急に左下腹部痛が出現し、排便時に鮮紅色の血液が混じるようになった。便の性状は、初めは軟便であったが、次第に泥状便に変化した。下腹部痛は波があり、排便後に軽減するが、再び増悪することがある。発熱はないが、最近食欲が低下し、軽度の体重減少も認める。排便後に便意が残る感覚がある。また、以前から排便後、肛門を拭いたトイレットペーパーに血液が付着することがあった。既往歴 : 高血圧症で降圧薬を内服中。糖尿病で経口血糖降下薬を服用中。生活歴 : 喫煙10 本/日を50 年間。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 父が大腸癌で死亡。現 症 : 身長155 cm、体重48 kg。脈数96/分、整。血圧110/68mmHg。眼瞼結膜に軽度の貧血を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は左下腹部に圧痛があり、反跳痛はない。腸雑音は亢進している。四肢に浮腫を認めない。
肛門と直腸の診察の結果、直腸内に径2 cm の硬結を指腹で触知し、指診後に血液の付着を認めたため、医師は下部消化管内視鏡検査を提案した。しかし、患者は「大腸カメラなんて、怖くて絶対に受けたくありません」と話している。このときの医師の応答で、誤っているのはどれか。
- ⑴ 「不安なお気持ちはわかります」正しい応答です。共感を示すことで患者の不安を受け止められます。
- ⑵ 「とにかく私の指示に従ってください」誤った応答です。一方的に指示に従わせるのは患者の自己決定を軽視しています。
- ⑶ 「検査の目的について詳しくご説明しますね」正しい応答です。検査の目的を説明することは意思決定を助けます。
- ⑷ 「どうして怖いと思うのか理由を教えていただけますか」正しい応答です。不安の理由を尋ねることで適切な対応につながります。
- ⑸ 「鎮静薬などを使用して眠っている間に検査を終えることもできます」正しい応答です。鎮静下での検査を提示し不安を軽減できます。
解説
正解は⑵です。直腸に硬結を触知し出血もあることから直腸癌が疑われ、下部消化管内視鏡検査が必要ですが、患者は強い恐怖心から検査を拒否しています。このような場合は、まず不安な気持ちに共感し、怖いと感じる理由を尋ね、検査の目的や必要性をわかりやすく説明し、鎮静下での検査など不安を軽減する方法を提示します。患者の自己決定を尊重した共同意思決定が重要で、一方的に指示に従わせる応答は不適切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成