56 歳の男性。腹部膨満と体重増加とを主訴に来院した。1 週間前から腹部膨満が出…
56 歳の男性。腹部膨満と体重増加とを主訴に来院した。1 週間前から腹部膨満が出現し体重が5 kg 増加した。1 年前からアルコール性肝硬変で通院していたが最近は飲酒量が増加していた。意識は清明。体温36.2 ℃。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。前胸部にくも状血管腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨隆し波動を認める。圧痛を認めない。下腿に浮腫を認める。血液所見:赤血球348 万、Hb 11.1 g/dL、白血球3,500、血小板7.2 万、PT-INR 1.2(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.5 g/dL、アルブミン2.8 g/dL、総ビリルビン1.0 mg/dL、AST 38 U/L、ALT 26 U/L、γ-GT 92 U/L(基準13~64)、アンモニア28 μg/dL(基準18~48)、尿素窒素12 mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.1 mEq/L。CRP 0.1 mg/dL。試験穿刺で得られた腹水の性状は漏出性で、好中球を認めない。適切な対応はどれか。3 つ選べ。
- ⑴ 禁酒アルコール性肝硬変の進行を防ぐため、禁酒が最も重要です。
- ⑵ 塩分制限塩分制限は腹水治療の基本です。
- ⑶ 利尿薬処方抗アルドステロン薬を中心とした利尿薬で腹水を減らします。
- ⑷ 抗菌薬点滴静注腹水中に好中球がなく特発性細菌性腹膜炎は否定的で、抗菌薬は不要です。
- ⑸ ラクツロース処方アンモニアは正常で肝性脳症はなく、ラクツロースは不要です。
解説
正解は⑴と⑵と⑶です。アルコール性肝硬変の患者で、飲酒量の増加を契機に腹水と下腿浮腫が増悪しています。腹水は漏出性で好中球を認めず、特発性細菌性腹膜炎は否定的です。治療の基本は禁酒、塩分制限(1日5〜7g程度)、利尿薬(スピロノラクトンなどの抗アルドステロン薬を中心に、ループ利尿薬を併用)です。アンモニアは正常で肝性脳症の所見はなく、ラクツロースは不要です。難治例ではトルバプタンや腹水穿刺排液を検討します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成