76 歳の男性。2 週間前から続く全身倦怠感を主訴に来院した。進行肺腺癌と診断さ…
76 歳の男性。2 週間前から続く全身倦怠感を主訴に来院した。進行肺腺癌と診断され、4 か月前から免疫チェックポイント阻害薬を投与中である。高血圧症に対してカルシウム拮抗薬を内服している。意識は清明。脈拍72/分、整。血圧120/80mmHg。甲状腺腫を触知しない。血液所見:赤血球422 万、Hb 12.8 g/dL、白血球8,600。血液生化学所見:血糖104 mg/dL、トリグリセリド180 mg/dL、LDLコレステロール224 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.5 mEq/L、Cl 100 mEq/L、ACTH 46 pg/mL(基準60 以下)、プロラクチン〈PRL〉45 ng/mL(基準15 以下)、TSH 52 μU/mL(基準0.2~4.0)、FT40.2 ng/dL(基準0.8~2.2)、コルチゾール10.2 μg/dL(基準5.2~12.6)。胸部造影CT では肺癌原発巣の縮小がみられた。適切な対応はどれか。
- ⑴ スタチンの投与LDL上昇は甲状腺機能低下症によるもので、ホルモン補充で改善が期待できます。
- ⑵ ドパミン作動薬の投与プロラクチンの軽度上昇はTRH増加によるもので、ドパミン作動薬は不要です。
- ⑶ 甲状腺ホルモン薬の投与免疫関連有害事象による甲状腺機能低下症には甲状腺ホルモン薬を補充します。
- ⑷ グルココルチコイドの投与コルチゾールは正常で、副腎不全はなく、ステロイドは不要です。
- ⑸ 免疫チェックポイント阻害薬の中止甲状腺機能低下症はホルモン補充で管理でき、腫瘍も縮小しており中止は不要です。
解説
正解は⑶です。免疫チェックポイント阻害薬の投与中に全身倦怠感が出現し、TSH高値とFT4低値を示し、免疫関連有害事象による原発性甲状腺機能低下症と考えられます。ACTHとコルチゾールは正常で、副腎不全の合併は否定的です。LDLコレステロール上昇や軽度のプロラクチン上昇も甲状腺機能低下症に伴う変化です。治療は甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)の補充で、甲状腺機能低下症のみであれば原則として免疫チェックポイント阻害薬は継続可能です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成