76 歳の男性。定期受診で来院した。3 年前に拡張期心雑音を指摘され、定期的に心…
76 歳の男性。定期受診で来院した。3 年前に拡張期心雑音を指摘され、定期的に心エコー検査で経過観察をしてきた。今回、6 か月ぶりの心エコー検査と定期外来で受診し、労作時の息切れを認めた。意識は清明。身長168 cm、体重72 kg。体温35.8 ℃。脈拍72/分、整。血圧142/46mmHg。SpO2 98 %(room air)。頸静脈の怒張を認めず、呼吸音に異常を認めない。胸骨左縁第3 ~4 肋間にLevine 2/6の拡張期雑音を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。血液生化学所見:尿素窒素14 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、血糖106 mg/dL、HbA1c 6.4 %(基準4.9~6.0)、BNP 245 pg/mL(基準18.4 以下)。胸部エックス線写真(別冊No. 16A)を示す。心電図では、V 4 ~V 6 胸部誘導で高電位を認める。心エコー図(別冊No. 16B)とカラードプラ心エコー図(別冊No. 16C)とを別に示す。心エコー検査では、左室拡張期径69 mm、左室駆出率46 %、大動脈弁輪の拡大と重症の大動脈弁閉鎖不全症を認める。胸部造影CT でも、著明な大動脈弁基部の拡張を認める。冠動脈造影検査で冠動脈に病変を認めなかった。適切な治療はどれか。
- ⑴ Bentall 手術大動脈弁と拡張した基部を一括で置換し、冠動脈を再建するBentall手術が適切です。
- ⑵ 僧帽弁置換術病変は大動脈弁と基部で、僧帽弁置換術の適応はありません。
- ⑶ 大動脈弁置換術単独弁置換のみでは拡張した大動脈基部が残存します。
- ⑷ 上行大動脈置換術単独上行大動脈置換のみでは大動脈弁の逆流が残ります。
- ⑸ 経カテーテル大動脈弁留置術〈TAVI〉TAVIは大動脈弁狭窄症に対する治療で、閉鎖不全症と基部拡張には適しません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴です。重症大動脈弁閉鎖不全症に労作時息切れを伴い、左室拡張期径69mm、左室駆出率46%と左室拡大と機能低下を認めるため、手術適応があります。さらに大動脈弁輪の拡大と著明な大動脈基部の拡張を伴っており、大動脈弁と上行大動脈基部を人工弁付き人工血管で一括して置換し、冠動脈を再建するBentall手術が適切です。弁単独や上行大動脈単独の置換では基部拡張と弁逆流の両方を治療することはできないと考えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成