65 歳の男性。発熱と胸痛を主訴に来院した。1 週間前から咳嗽と喀痰を認めていた…
65 歳の男性。発熱と胸痛を主訴に来院した。1 週間前から咳嗽と喀痰を認めていた。3 日前から発熱を伴い、膿性痰が増量し、昨日から胸痛を自覚したため受診した。56 歳時から糖尿病の治療中である。60 歳の妻と2 人暮らし。喫煙は20 歳から20 本/日を45 年間。飲酒は機会飲酒。意識は清明。身長174 cm、体重71 kg。体温38.3 ℃。脈拍84/分、整。血圧142/80mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めない。左胸部の呼吸音が減弱している。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球502 万、Hb 14.6 g/dL、Ht 48 %、白血球15,200、血小板23 万。血液生化学所見:総蛋白7.0 g/dL、アルブミン4.2 g/dL、AST 36 U/L、ALT 32 U/L、LD 338 U/L(基準124~222)、尿素窒素10 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、空腹時血糖140 mg/dL、HbA1c 7.0 %(基準4.9~6.0)、Na 139 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 103 mEq/L。CRP 22 mg/dL。胸部エックス線写真(別冊No. 7)を別に示す。左胸腔にドレーンを挿入し、胸水のドレナージを行ったところ、胸水は混濁していた。採取した胸水には白血球を多数認め、Gram染色標本ではGram 陽性球菌が確認された。適切な治療薬はどれか。
- ⑴ 抗菌薬細菌性膿胸であり、ドレナージとともに抗菌薬投与が必要です。
- ⑵ 抗結核薬Gram陽性球菌を認め急性の経過であり、結核性胸膜炎とは考えにくいです。
- ⑶ 抗真菌薬真菌ではなく細菌が検出されており、抗真菌薬は不適切です。
- ⑷ 気管支拡張薬気管支拡張薬は膿胸の治療にはなりません。
- ⑸ 吸入副腎皮質ステロイド薬吸入ステロイドは膿胸の治療にならず、感染を悪化させるおそれもあります。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴です。糖尿病患者で咳嗽、膿性痰、発熱、胸痛が出現し、左胸水を認め、ドレナージで混濁した胸水と多数の白血球、Gram陽性球菌が確認されたことから、肺炎に続発した膿胸と考えられます。治療は胸腔ドレナージとともに、起因菌に有効な抗菌薬を投与します。Gram陽性球菌として肺炎球菌やレンサ球菌、黄色ブドウ球菌などを想定し、嫌気性菌もカバーします。ドレナージ不良の場合は線維素溶解療法や胸腔鏡手術を検討します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成