ソクマル医師

85 歳の女性。傾眠状態を主訴に家族に連れられて来院した。以前は散歩もしていたが…

85 歳の女性。傾眠状態を主訴に家族に連れられて来院した。以前は散歩もしていたが、2 週間前から傾眠状態が強くなり徐々にADL が低下し、現在はほとんど寝て過ごしている。食事と水分はかろうじて摂取できている。体重は1 か月で2kg 増加した。既往歴に高血圧症、慢性腎臓病、甲状腺機能低下症があり、アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬およびレボチロキシンを朝食後に服用している。6 か月前から骨粗鬆症予防のためにサプリメントとして炭酸カルシウムを1 日3 回毎食後に飲み始めた。診察時の意識は清明。体温36.7 ℃。脈拍52/分、整。血圧124/78mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96 %(room air)。びまん性の左右対称の甲状腺腫を触知するが、甲状腺結節は認めない。頸部リンパ節は触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。下肢に軽度の非圧痕性浮腫を認める。四肢に麻痺を認めない。血液所見:Hb 13.9 g/dL、白血球6,400、血小板21 万。血液生化学所見:総蛋白7.5 g/dL、アルブミン3.9 g/dL、尿素窒素18 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、血糖96 mg/dL、Na 131 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 97 mEq/L、Ca9.8 mg/dL、TSH 24.4 μU/mL(基準0.2~4.0)、FT40.5 ng/dL(基準0.8~2.2)。CRP 0.2 mg/dL。この患者の症状の原因で最も考えられるのはどれか。

解説

正解は⑶です。甲状腺機能低下症でレボチロキシンを服用中の患者が、炭酸カルシウムを毎食後に飲み始めた後から、傾眠、徐脈、体重増加、非圧痕性浮腫が出現し、TSH高値とFT4低値を示しています。カルシウム製剤や鉄剤、制酸薬などはレボチロキシンと消化管内で結合して吸収を阻害するため、甲状腺機能低下症が増悪したと考えられます。両者の服用時間を4時間程度あけるか、レボチロキシンを就寝前などに変更します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成

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