82 歳の男性。右季肋部痛を主訴に来院した。1 か月前に自宅近くの病院で膵癌およ…
82 歳の男性。右季肋部痛を主訴に来院した。1 か月前に自宅近くの病院で膵癌および多発肝転移と診断された。薬物による抗癌治療を希望せず、外来でアセトアミノフェンの処方をうけている。1 週間前から右季肋部の痛みが増悪し、食欲が低下している。また大きな息をすることができず、呼吸困難を自覚している。意識は清明。身長162 cm、体重52 kg。体重減少はない。体温36.2 ℃。脈拍68/分、整。血圧112/58mmHg。呼吸数16/分。SpO2 94 %(room air)。腹部造影CT で肝転移の増大を認めた。まず行うべきなのはどれか。
- ⑴ 酸素投与SpO2は94%と保たれ、呼吸困難の主因は痛みであるため、酸素投与は優先されません。
- ⑵ 制吐薬投与悪心・嘔吐の訴えはなく、制吐薬を優先する理由はありません。
- ⑶ 鎮静薬投与鎮静は他の手段で緩和できない苦痛に対して検討するもので、まず行う対応ではありません。
- ⑷ オピオイド投与非オピオイドで不十分ながん疼痛にはオピオイドを導入し、痛みの緩和を図ります。
- ⑸ 高カロリー輸液終末期の高カロリー輸液は効果が乏しく、浮腫などの負担を増やすおそれがあります。
解説
正解は⑷です。膵癌の多発肝転移の増大により肝被膜が伸展され、右季肋部痛が増悪しています。呼吸困難は痛みのために深呼吸ができないことによるもので、SpO2は94%と保たれています。アセトアミノフェンで疼痛が十分に制御できていないため、WHO方式のがん疼痛治療に沿ってオピオイドを導入し、痛みを和らげることがまず必要です。痛みが緩和されれば呼吸困難や食欲低下の改善も期待でき、生活の質の向上につながると考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成