68 歳の女性。数年前から、年に数回、動悸を自覚するようになり、1 年前から動悸…
68 歳の女性。数年前から、年に数回、動悸を自覚するようになり、1 年前から動悸時に眼前暗黒感を自覚するようになった。自宅近くの診療所でHolter 心電図検査を3 回行ったが、原因は明らかでなかった。3 か月前に、失神を起こしたため、植込み型心電図計を植え込んだ。遠隔モニタリングで、発作性心房細動の停止時に最大8 秒間の心停止を認め、本人に確認したところ眼前暗黒感を伴っていたため予約外での診察となった。意識は清明。身長148 cm、体重50 kg。体温36.2 ℃。脈拍76/分、整。血圧118/64mmHg。SpO2 98 %(room air)。頸静脈の怒張を認めず、心音と呼吸音とに異常を認めない。四肢は浮腫を認めない。血液生化学所見:尿素窒素12 mg/dL、クレアチニン0.6 mg/dL、血糖120 mg/dL、BNP 正常。胸部エックス線写真、12 誘導心電図は正常であった。心エコー検査では、左房の拡大はなく、左室収縮機能も正常範囲であった。抗凝固療法を開始後、選択しうる治療法はどれか。2 つ選べ。
- ⑴ β 遮断薬投与β遮断薬は洞機能を抑制し、心房細動停止時の洞停止を悪化させるおそれがあります。
- ⑵ カルシウム拮抗薬投与非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬も洞機能を抑え、ペースメーカなしでは危険です。
- ⑶ カテーテルアブレーション心房細動を根治すれば停止時の洞停止も起こらなくなり、治療選択肢になります。
- ⑷ 心臓ペースメーカ植え込み症候性の洞停止に対しペースメーカで徐脈を予防できます。
- ⑸ 植込み型除細動器〈ICD〉植え込み心室頻拍や心室細動の既往はなく、ICDの適応はありません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶と⑷です。発作性心房細動の停止時に最大8秒の洞停止を生じ、眼前暗黒感を伴っていることから、徐脈頻脈症候群(洞不全症候群Ⅲ型)と考えられます。治療は、心房細動そのものを根治するカテーテルアブレーションにより停止時の洞停止を起こさなくする方法と、ペースメーカ植え込みで徐脈を予防する方法があります。β遮断薬やカルシウム拮抗薬は洞機能を抑制して心停止を悪化させるため、単独では用いにくい薬剤です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成