57 歳の男性。心窩部痛を主訴に来院した。3 か月前に食後の心窩部違和感が出現し…
57 歳の男性。心窩部痛を主訴に来院した。3 か月前に食後の心窩部違和感が出現した。症状は徐々に増悪し、2 週間前から心窩部痛を自覚したため受診した。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。身長160 cm、体重50 kg。体温36.6 ℃。脈拍80/分、整。血圧138/78mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。腸雑音に異常を認めない。血液所見:赤血球484 万、Hb 14.0 g/dL、Ht 45 %、白血球5,500、血小板22 万。血液生化学所見:総蛋白6.7 g/dL、アルブミン4.3 g/dL、総ビリルビン0.7 mg/dL、AST 13 U/L、ALT 12 U/L、LD 154 U/L(基 準124~222)、ALP 73 U/L(基 準38~113)、γ-GT 23 U/L(基準13~64)、尿素窒素19 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL、尿酸6.4 mg/dL、血糖98 mg/dL、CEA 1.7 ng/mL(基準5 以下)、CA19-9 2 U/mL 未満(基準37 以下)。CRP 1.0 mg/dL。上部消化管内視鏡検査の胃体上部像(別冊No. 22)を別に示す。生検検体の病理検査で中分化管状腺癌と診断された。頸部~骨盤部造影CT でリンパ節腫大や遠隔転移を認めない。適切な対応はどれか。
- ⑴ 手術内視鏡治療の適応外で遠隔転移のない胃癌には、リンパ節郭清を伴う胃切除術を行います。
- ⑵ 経過観察癌と診断され根治可能な状態であり、経過観察は不適切です。
- ⑶ 放射線治療胃癌に対する放射線治療は根治治療として一般的ではなく、出血などの緩和目的に限られます。
- ⑷ 薬物による抗癌治療薬物療法は切除不能・再発例が対象で、切除可能例の第一選択ではありません。
- ⑸ 内視鏡的粘膜下層剝離術〈ESD〉ESDは転移リスクの低い粘膜内癌などが対象で、本例の病変は適応を超えると考えられます。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴です。胃体上部の中分化管状腺癌で、CTではリンパ節転移や遠隔転移を認めません。内視鏡像は提示されていますが、示された所見が潰瘍を伴う、あるいは粘膜下層以深への浸潤が疑われるなど、ESDの適応を超える病変であると判断される場合、リンパ節転移の可能性を否定できないため、リンパ節郭清を伴う胃切除術が標準治療です。遠隔転移がない切除可能な胃癌に対しては、手術による根治を目指すのが原則です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成