48 歳の女性。人間ドックで副腎腫瘤を指摘され来院した。数年前から高血圧症に対し…
48 歳の女性。人間ドックで副腎腫瘤を指摘され来院した。数年前から高血圧症に対してカルシウム拮抗薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を内服中である。身長160 cm、体重66 kg。脈拍72/分、整。血圧130/84mmHg。満月様顔貌および水牛様肩がみられる。血液生化学所見:空腹時血糖110 mg/dL、HbA1c 6.2 %(基準4.9~6.0)、トリグリセリド154 mg/dL、LDL コレステロール182 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 3.8 mEq/L、Cl 104 mEq/L、血漿レニン活性1.6 ng/mL/時間(基準1.2~2.5)、アルドステロン48 pg/mL(基準4 ~82)、ACTH 1.4 pg/mL(基準60 以下)、コルチゾール24.2 μg/dL(基準5.2~12.6)、アドレナリン8 pg/mL(基準100 以下)、ノルアドレナリン124 pg/mL(基準100~450)。少量デキサメタゾン(1 mg)抑制試験は陽性であった。腹部単純CT(別冊No. 6A)と副腎皮質シンチグラム(別冊No. 6B)を別に示す。治療として副腎腫瘤の摘出手術を予定している。外科治療後の対応で適切なのはどれか。
- ⑴ 降圧薬の増量コルチゾール過剰が是正されると血圧は低下する方向で、術後に降圧薬を増量する必要はありません。
- ⑵ スタチンの投与脂質異常はコルチゾール過剰の是正で改善しうるため、術後にまず行う対応ではありません。
- ⑶ SGLT 2 阻害薬の投与耐糖能異常も原因の除去で改善が期待され、術後にまず必要な対応ではありません。
- ⑷ グルココルチコイドの投与対側副腎が抑制されているため、術後の副腎不全予防にグルココルチコイド補充が必要です。
- ⑸ 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の投与必要なのは不足するコルチゾールそのものの補充で、ACTHの投与は治療として行いません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷です。満月様顔貌、水牛様肩、耐糖能異常、脂質異常があり、ACTH抑制下でのコルチゾール高値とデキサメタゾンで抑制されないことから、副腎腺腫によるCushing症候群と考えられます。腫瘍からの自律的なコルチゾール分泌によりACTHが長期間抑制され、反対側の副腎は萎縮しています。そのため腫瘍摘出後は急性副腎不全を起こす危険が高く、視床下部-下垂体-副腎系が回復するまで数か月〜1年程度グルココルチコイドを補充します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成