72 歳の男性。食道癌で訪問診療を受けている。3 年前に食道癌の手術を受けた。6…
72 歳の男性。食道癌で訪問診療を受けている。3 年前に食道癌の手術を受けた。6 か月前に肺と骨に多発転移が見つかり、余命数か月と告知を受けた。本人の強い希望で積極的な治療はせず、自宅で在宅療養をしている。ここ1 か月で嚥下障害が進行し、体重が著しく減少した。本人は訪問診療に訪れた医師に「尊厳死宣言文書」を提示して「痛みがつらくて寝られないから早く死なせて欲しい」と訴えている。家族は本人の意向を尊重したいと言っている。行うべき対応はどれか。
- ⑴ 胃瘻造設本人は積極的な治療を望んでおらず、胃瘻造設は本人の意向に反します。
- ⑵ 経過観察強い疼痛があるため、経過観察では苦痛が放置されてしまいます。
- ⑶ 筋弛緩薬静注筋弛緩薬で死期を早めることは積極的安楽死に当たり、行ってはなりません。
- ⑷ 高カロリー輸液高カロリー輸液は延命につながる処置で、本人の意向に沿わず、苦痛の緩和にもなりません。
- ⑸ 疼痛コントロール痛みが訴えの背景にあり、疼痛コントロールを十分に行うことが最優先です。
解説
正解は⑸です。終末期の食道癌患者が、痛みのために眠れず「早く死なせて欲しい」と訴えています。尊厳死宣言は延命治療を望まない意思を示すものですが、苦痛を取り除く緩和ケアを拒否するものではありません。患者の訴えの背景には疼痛のコントロール不良があるため、まずオピオイドなどを用いて疼痛を十分に緩和することが求められます。筋弛緩薬の静注で死期を早めることは積極的安楽死に当たり、我が国では認められていない点が重要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成