52 歳の男性。疲れやすく、仕事中に頭が回らないことを主訴に妻とともに来院した。…
52 歳の男性。疲れやすく、仕事中に頭が回らないことを主訴に妻とともに来院した。5 年前から、週に数回、就寝後約2 時間すると大声をあげるようになり、起き上がって家具を倒すこともあった。3 年前から疲れやすくなり、気分が憂うつになった。2 年前から仕事中に頭が回らず、集中できなくなり、職場の上司から仕事のミスを指摘されるようになった。1 年前から右手の震えに妻が気付いていた。日中に行動異常はない。薬は服用していない。身長163 cm、体重56 kg。Mini-Mental State Examination〈MMSE〉 は29 点(30 点満点)。嗅覚が低下している。表情は乏しく、小声で、前傾姿勢が強い。右上肢に静止時振戦と筋強剛を認める。血液所見、血液生化学所見、脳波検査および頭部単純MRI に異常を認めない。この患者にみられるのはどれか。
- ⑴ チックチックは小児期に多い不随意な素早い運動や発声で、本例とは合いません。
- ⑵ 常同行動常同行動は前頭側頭型認知症や自閉スペクトラム症でみられ、本例とは合いません。
- ⑶ 舞踏運動舞踏運動はHuntington病などでみられる不規則な不随意運動で、本例とは合いません。
- ⑷ 複雑部分発作複雑部分発作はてんかん発作で、脳波に異常がなく日中の行動異常もない本例とは合いません。
- ⑸ レム〈REM〉睡眠行動障害就寝中に夢に合わせて大声や暴れる行動をとるのはレム睡眠行動障害で、Parkinson病に先行してみられます。
解説
正解は⑸です。就寝後に大声をあげ、起き上がって家具を倒すといった夢の内容に合わせた異常行動は、レム睡眠行動障害に特徴的です。さらに嗅覚低下、抑うつ、仮面様顔貌、小声、前傾姿勢、右上肢の静止時振戦と筋強剛を認め、Parkinson病と考えられます。レム睡眠行動障害、嗅覚低下、便秘、うつはParkinson病の運動症状に先行して出現する非運動症状として知られています。チック、常同行動、舞踏運動、複雑部分発作は本例の特徴とは合わないと考えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成