58 歳の女性。既往歴に特記すべきことはない。昨日、交通事故で死亡した息子の通夜…
58 歳の女性。既往歴に特記すべきことはない。昨日、交通事故で死亡した息子の通夜があった。息子の傍にいたいと言って棺が安置されている部屋に行ったまま、朝になっても帰ってこないのを不審に思った夫が部屋に行ったところ、棺内に上半身を入れた状態で死亡しているのを発見した。死因で考えられるのはどれか。
- ⑴ トルエン中毒トルエン中毒は塗料や接着剤の溶剤の吸入で起こり、本例の状況とは合いません。
- ⑵ 硫化水素中毒硫化水素中毒は火山ガスや下水、混合洗剤などで起こり、本例の状況とは合いません。
- ⑶ 一酸化炭素中毒一酸化炭素中毒は不完全燃焼で起こり、棺内で発生する状況は考えにくいです。
- ⑷ 二酸化炭素中毒棺内のドライアイスから発生した高濃度の二酸化炭素を吸入したと考えられます。
- ⑸ ホルマリン中毒ホルマリンは遺体の防腐処置に用いられることがありますが、急死の原因としては考えにくいです。
解説
正解は⑷です。通夜で遺体の腐敗を防ぐために棺内に大量のドライアイスが入れられていたと考えられ、ドライアイスが昇華して発生した二酸化炭素が棺内に高濃度に充満します。棺に上半身を入れた状態でいたため、高濃度の二酸化炭素を吸入して意識を失い、死亡したと考えられます。二酸化炭素は空気より重く棺内にたまりやすく、高濃度では数回の呼吸で意識を失います。実際に同様の死亡事故が報告されており、注意喚起がなされています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成