53 歳の男性。肺癌の手術のため入院中である。3 日前に右上葉肺癌に対して右肺上…
53 歳の男性。肺癌の手術のため入院中である。3 日前に右上葉肺癌に対して右肺上葉切除術を行った。術後、胸腔ドレーンからの空気漏れは認めず、昨日、胸腔ドレーンを抜去した。本日、排便時にいきんだところ、呼吸困難が出現した。体温36.6 ℃。脈拍80/分、整。血圧128/76mmHg。呼吸数16/分。SpO2 94 %(roomair)。胸部エックス線写真(別冊No. 17)を別に示す。この患者でみられる身体所見はどれか。
- ⑴ 動揺胸郭動揺胸郭は多発肋骨骨折で生じる奇異呼吸で、本例の経過とは合いません。
- ⑵ 頸部の発赤頸部の発赤は皮下気腫の所見ではありません。皮下気腫では腫脹と握雪感を認めます。
- ⑶ 腹部の圧痛腹部の圧痛は本例の病態とは関係しません。
- ⑷ 右側胸部の熱感熱感は創感染や炎症で生じる所見で、皮下気腫では認めません。
- ⑸ 右側胸部の握雪感胸壁の皮下に空気が貯留すると、触診で握雪感を認めます。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。肺葉切除術後、胸腔ドレーン抜去の翌日に、いきみを契機として呼吸困難が出現しており、気胸とそれに伴う皮下気腫が考えられます。胸部エックス線写真は本文から確認できませんが、皮下や胸壁の軟部組織内の空気像が想定されます。皮下気腫のある部位を触診すると、雪を握ったときのような「握雪感(捻髪感)」を触知します。空気は頸部や顔面に広がることもあり、気胸の増悪がないかを確認し、必要に応じてドレーンを再挿入します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成