70 歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。歩行中に乗用車にはね飛ばされた…
70 歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。歩行中に乗用車にはね飛ばされたため救急車で搬送された。搬入時、呼びかけに応答しないが痛み刺激に対し腕をはらいのける。体温36.0 ℃。心拍数120/分、整。血圧130/70mmHg。呼吸数40/分。SpO2 90 %(リザーバーマスク10 L/分 酸素投与下)。体格は肥満型。心電図モニターと連続測定血圧計を装着した。動脈血ガス分析(リザーバーマスク10 L/分 酸素投与下):pH 7.15、PaCO2 50 Torr、PaO2 60 Torr、HCO3⁻20mEq/L、BE-8.0 mEq/L、Hb 9.0 g/dL、Ht 30 %。SpO2 80 %(リザーバーマスク10 L/分酸素投与下)に低下したので、用手換気を試みるが胸が上がらない。経口エアウェイを挿入し下顎挙上を行うが、胸が上がらない。気管挿管を試みるが、声門が直視できず挿管困難であった。頸動脈は触知可能であった。直ちに行うのはどれか。
- ⑴ ECMO準備に時間を要し、緊急の気道確保の代わりにはなりません。
- ⑵ 胸骨圧迫頸動脈を触知でき心停止ではないため、胸骨圧迫は不要です。
- ⑶ 緊急ペーシング徐脈性不整脈に対する処置で、本例には適応がありません。
- ⑷ 輪状甲状靱帯切開換気も挿管もできない状態で、外科的気道確保として直ちに行います。
- ⑸ 大動脈内バルーンパンピング〈IABP〉心原性ショックなどに用いる補助循環で、気道の問題は解決しません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷です。外傷患者で意識障害、頻呼吸、高度の低酸素血症とアシドーシスがあり、用手換気でも胸が上がらず、経口エアウェイと下顎挙上でも換気できず、気管挿管も困難な「換気も挿管もできない(CVCI)」状態です。頸動脈は触知できるため心停止ではありません。この場合は外科的気道確保として輪状甲状靱帯切開を直ちに行い、換気を確保します。ECMOは準備に時間を要し、胸骨圧迫やペーシング、IABPは循環に対する処置です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成