11 歳の男児。下腹部痛を主訴に学校の先生に連れられて来院した。午後から急に下腹…
11 歳の男児。下腹部痛を主訴に学校の先生に連れられて来院した。午後から急に下腹部痛が出現し、徐々に増強して我慢できなくなったため受診した。体温36.8 ℃。脈拍108/分、整。血圧118/62mmHg。呼吸数18/分。SpO2 99 %(roomair)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、下腹部に軽度の圧痛を認めるが、筋性防御および反跳痛は認めない。肝・脾を触知しない。腸雑音に異常を認めない。鼠径部に腫瘤を触れない。左陰囊は右陰囊に比較して腫大し、透光性は無く、軽度の発赤と著明な圧痛を認める。カラードプラ陰囊部超音波検査で左精巣実質内の血流信号が乏しい所見が認められた。診断はどれか。
- ⑴ 精巣腫瘍無痛性の精巣腫大が典型的で、急な疼痛や血流低下は合いません。
- ⑵ 精巣水瘤陰嚢水腫は透光性があり無痛性で、本例とは合いません。
- ⑶ 精索静脈瘤左側に多い静脈の拡張で、急性の激しい疼痛や血流低下はきたしません。
- ⑷ 精巣捻転症急な疼痛と陰嚢腫大、精巣血流の低下から診断され、緊急手術が必要です。
- ⑸ 鼠径ヘルニア鼠径部に腫瘤を触れず、精巣血流の低下も説明できません。
解説
正解は⑷です。学童男児に急に下腹部痛が出現し、左陰嚢の腫大、発赤、著明な圧痛を認め、カラードプラ超音波検査で左精巣の血流信号が乏しいことから、精巣捻転症と診断されます。思春期前後に多く、精巣の阻血は発症から6時間以内に解除しないと精巣の温存が困難になるため、緊急手術による捻転解除と精巣固定術(対側も固定)を行います。下腹部痛のみを訴えることもあり、陰嚢の診察を忘れないことが重要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成