がんに対する温熱療法で正しいのはどれか。
がんに対する温熱療法で正しいのはどれか。
- ⑴ 30~35 ℃の加温で熱凝固が起こる。30〜35℃は体温より低く、細胞への殺傷効果はありません。温熱療法では42〜43℃前後を用い、熱凝固が起こるのは60℃以上です。
- ⑵ ヒートショック蛋白は温熱耐性を抑制する。ヒートショック蛋白は加温後に誘導され、蛋白の変性を防いで温熱耐性を獲得させます。抑制ではなく促進する働きです。
- ⑶ S 期よりもM 期にある細胞の感受性が高い。温熱に対してはS期の細胞の感受性が高いとされます。M期の感受性が高いのは放射線の場合で、両者は逆の関係にあります。
- ⑷ 低酸素細胞よりも酸素に富む細胞に効果的である。温熱は血流が乏しく低酸素・低pH・低栄養となった領域に効きやすい性質があります。放射線が効きにくい部分を補う関係です。
- ⑸ 放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。温熱は亜致死損傷からの回復や潜在的致死損傷の修復を抑制するため、放射線との併用で効果が高まります。温熱併用療法の主な根拠です。
解説
正解は⑸です。温熱は放射線照射で生じた亜致死損傷からの回復を妨げ、潜在的致死損傷の修復も抑制するため、放射線と併用すると相乗的に効果が高まります。温熱療法が放射線治療と組み合わせて用いられるのはこのためです。加温は42〜43℃程度で細胞死を起こし、腫瘍内の低酸素・低pH・低栄養の領域に効きやすいという、放射線とは逆の性質をもちます。細胞周期ではS期の感受性が高い点も、放射線でM期の感受性が高いこととの対比で覚えてください。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-06.html)を加工して作成