マウスの悪性腫瘍で放射線の遺伝的影響が疑われるのはどれか。
マウスの悪性腫瘍で放射線の遺伝的影響が疑われるのはどれか。
- ⑴ 母親が妊娠初期に腹部CT を受けた。胎児が直接被ばくした場合に生じるのは、その個体に現れる身体的影響(胎内被ばくの影響)です。生殖細胞を介して伝わる遺伝的影響ではありません。
- ⑵ 自然放射線レベルの高い施設で飼育されていた。個体自身が低線量を継続して受けた状況で、生じるのは本人の身体的影響です。線量も高くなく、腫瘍との因果関係も示せません。
- ⑶ 母親が妊娠後期に頭部に高線量の被ばくをした。母体の頭部への照射であり、生殖細胞も胎児も高線量を受けません。生まれた仔の腫瘍と結び付ける根拠になりません。
- ⑷ 母親の妊娠前に父親が全身に高線量の被ばくをした。受精前に父親の生殖細胞が高線量被ばくしており、精子に生じた突然変異が子に伝わった可能性があります。これが遺伝的影響の典型的な条件です。
- ⑸ 密封小線源を埋め込まれたマウスと同じケージで飼育されていた。同じケージでの同居による被ばくは外部被ばくであり、線量も低く、生じるのは個体自身の身体的影響です。生殖細胞を介した伝達ではありません。
解説
正解は⑷です。遺伝的影響とは、被ばくした本人の生殖細胞に生じた突然変異が子孫に伝わって現れる影響を指します。受精前に父親の全身(精巣を含む)が高線量被ばくしていれば、精子の遺伝子に生じた変化が子に受け継がれた可能性が考えられ、生まれた仔の悪性腫瘍は遺伝的影響として疑われます。これに対し胎児期の被ばくや個体自身の被ばくで生じた腫瘍は、その個体に現れる身体的影響であり、遺伝的影響とは呼びません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-06.html)を加工して作成