60Co γ 線のエネルギースペクトル測定の結果を図に示す。エスケープピークはど…
60Co γ 線のエネルギースペクトル測定の結果を図に示す。エスケープピークはどれか。
- ⑴ ア光電ピークより511keV(または1,022keV)低いエネルギー位置に立つピークで、対生成で生じた消滅放射線が結晶外へ逃げたことにより現れるエスケープピークにあたります。
- ⑵ イエスケープピークが立つのは光電ピークより511keVまたは1,022keV低い位置に限られます。イはその位置に当たらないため該当しません。
- ⑶ ウ60Coのスペクトルには1.17MeVと1.33MeVの光電ピークが並びます。これらは全エネルギーが吸収された事象によるもので、エスケープピークではありません。
- ⑷ エコンプトン散乱の連続部とその上端であるコンプトン端も山状に見えますが、成因が異なりエスケープピークではありません。
- ⑸ オ検出器の周囲で後方散乱した光子による後方散乱ピークや、2本のγ線が同時に吸収されて生じるサムピークもありますが、いずれもエスケープピークとは別のものです。
この問題は別冊の図版(写真・標本・心電図など)を見て答えます。図版は転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも所見の読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴です。エスケープピークは、検出器の中で対生成が起こったときに生じた消滅放射線(511keV)が結晶の外へ逃げ出すために現れる副次的なピークです。511keVの光子が1本逃げれば光電ピークより511keV低い位置に単一エスケープピーク、2本とも逃げれば1,022keV低い位置に二重エスケープピークが立ちます。60Coのγ線は1.17MeVと1.33MeVで対生成のしきい値1.022MeVを超えるため、これらのピークが観測されます。図のアはこの、光電ピークより511keVの整数倍だけ低いエネルギー位置にあたるピークで、これがエスケープピークです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-06.html)を加工して作成