電離放射線の細胞に対する作用で正しいのはどれか。
電離放射線の細胞に対する作用で正しいのはどれか。
- ⑴ 間接作用は低温で増強される。低温ではフリーラジカルの拡散が抑えられるため、間接作用はむしろ減弱します。増強されるという記述は誤りです。
- ⑵ 高LET では直接作用が主である。高LET放射線は飛跡に沿って高密度に電離を起こし、DNAへ直接エネルギーを与えます。そのため直接作用の寄与が主体になります。
- ⑶ 二重鎖切断が起きたDNA は修復不能である。二重鎖切断も相同組換えや非相同末端結合によって修復されます。修復の誤りが残ると変異や細胞死につながる、という関係です。
- ⑷ 直接作用はフリーラジカルによるものである。逆です。フリーラジカルを介してDNAが傷つくのは間接作用です。直接作用はDNAが直接エネルギーを受けて電離・励起されることをいいます。
- ⑸ 間接作用によるDNA の障害を一本鎖切断という。一本鎖切断か二重鎖切断かは損傷の形態による分類で、直接作用か間接作用かとは無関係です。間接作用でも二重鎖切断は生じます。
解説
正解は⑵です。高LET放射線は飛跡に沿って高密度に電離を起こすため、DNAに直接エネルギーを与えて損傷させる直接作用の寄与が主体になります。逆にX線やγ線のような低LET放射線では、水分子の電離で生じたフリーラジカルがDNAを傷つける間接作用が全体の約7割を占めます。したがって、フリーラジカルによるのは直接作用ではなく間接作用です。間接作用はラジカルの拡散に依存するため、低温や凍結、高濃度の溶質による希釈効果で抑制されます。DNA二重鎖切断も相同組換えや非相同末端結合により修復され得ます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-06.html)を加工して作成