光子と物質の相互作用で正しいのはどれか。
光子と物質の相互作用で正しいのはどれか。
- ⑴ 特性X 線は連続スペクトルを持つ。特性X線は内殻の空孔を外殻電子が埋めるときに出るため、殻のエネルギー差に対応した線スペクトルです。連続スペクトルは制動放射によるものです。
- ⑵ 光電効果は最外殻の電子で起こることが多い。光電効果は束縛エネルギーの大きい内殻、特にK殻の電子で起こりやすい相互作用です。最外殻ではありません。
- ⑶ 電子対生成の生じた位置で消滅放射線が発生する。消滅放射線は電子対生成で生じた陽電子が電子と対消滅する場所で発生します。陽電子は飛程分だけ進むため、生成位置そのものではありません。
- ⑷ コンプトン散乱において散乱光子の波長は入射光子の波長より長くなる。散乱光子は電子にエネルギーを渡して低エネルギーになるため、E=hc/λより波長は入射光子より長くなります。これが正しい記述です。
- ⑸ 光子エネルギーが1 MeV のとき鉛と光子の相互作用は電子対生成が主である。電子対生成のしきい値は1.022MeVで、1MeVでは起こりません。鉛では光電効果とコンプトン散乱が主体です。
解説
正解は⑷です。コンプトン散乱では入射光子が軌道電子にエネルギーの一部を渡して散乱するため、散乱光子のエネルギーは必ず入射光子より小さくなります。E=hc/λの関係から、エネルギーが小さいことは波長が長いことを意味し、散乱光子の波長は入射光子より長くなります。散乱角が大きいほどエネルギー移行が大きく、波長の伸びも大きくなります。この波長変化量(コンプトンシフト)は入射エネルギーによらず散乱角だけで決まる点も、他の選択肢と併せて確認しておきましょう。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-06.html)を加工して作成